公演情報
かまどキッチン「ストレスゼロ・ハウジング」の観たい!クチコミとコメント
期待度♪♪♪♪♪
以前、駒場アゴラ劇場でかまどキッチンの『燦燦SUN讃讃讃讃』を観たことがある。
そのときは作品の細部をそれほど覚えていなかったのだが、今回『ストレスゼロ・ハウジング』を知って、改めてこの劇団が、人間そのものを直接描くというより、物や空間、制度やゲームのようなものを通して人間の関係をずらして見せることに興味が湧いた。
『ストレスゼロ・ハウジング』を見たいと思うのは、人間がストレスや欲望から逃れるために作った仕組みが、いつの間にか人間自身を支配する装置へと反転していく構造に興味があるからだ。
たとえば会社で、嘘をつくことで一時的にストレスから逃れた人間が、その嘘が発覚しそうになると、今度は嘘を守るためにさらに嘘をつく。
最初はストレス解消の手段だったものが、やがて「大嘘製造マシーン」と化し、最大のストレス発生源になる。ブラックな会社のパワハラにも似た構造があり、「君のための指導」という言葉が、相手の選択肢を狭め、予測どおりに動かすための支配へ変わっていく。
この構造は美少女ゲームにも見える。相手を観察し、選択肢を選び、反応を見ながら望むルートへ進む。
愛情と攻略、理解と支配が非常に近い場所にある。現実の人間関係でも、相手の選択肢をすべて予測できたという妄想に支配されると、相手が予測から外れたとき、「相手がおかしい」と考え、脅迫や暴力によって選択肢そのものを奪おうとすることがある。それすら「愛しているから」「相手のため」と解釈してしまう。愛が支配欲に変わり、最後には自分自身がその欲望に支配される。
これはかなり古典的なマルキシズム、つまり疎外や物象化の問題にもつながる。自分が支配していると思っていたものが、逆に自分を規定し始める。
嘘、会社、ゲーム、愛、所有、そして家まで、同じ反転を起こしうる。
だからこの作品に期待しているのは、単なる「変な家」の話ではない。支配という名のゲームを、住宅や生活という身近な場所まで引きずり込み、そのゲームをしている人間自身がいつの間にかゲームの駒になってしまう。
そのブラックな反転を、舞台上でどこまで戯画化できるのかを見たいのである。