公演情報
秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場「喜劇「ワタクシたちの道徳」」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★
青年劇場・福山女史による何作目かの(カウントしてないが5作は優に超える)新作。チラシを見た時点ではピンと来なかったが、創立時劇団の一つの軸であったらしい飯沢匡へのオマージュ、風刺といった文言から現代日本を鋭く斬った劇、笑える劇を期待して観劇。
雨の代々木に降り立って劇場へ。割と良い席を当てがわれた。が、フィクションと風刺、パロディの作りが本来的には目指されている事を想像させながら、リアリズムのテンポ、演技をベースに芝居世界が(普通に)組み立てられてるせいか、質的に両端に引き裂かれてる感が拭えない。縦軸は教育への情熱を持ち、学生奨学金ローンの現状も改善しようと考えている(保守政権党の)国会議員の変節。序盤は彼の奥方や娘、地元の後援会長、秘書等の関係者が、彼を慕って集い盛り上がっている光景がある。
ボランティアを共にやっている娘の友人が、やがて直面する苦境、失踪に結果して庶民の困窮を代弁する形だが、彼女を探し出そうとする娘の動線が、後半ようやく芝居に躍動を与える。父は文科大臣になったが奨学金対策がカバーする範囲も制約がある。また森友、加計学園のスキャンダルが主軸に躍り出て来、秘書(前川氏がモデル。そうなると主役のモデルは下村博文?)の反逆(つっても正論を通しただけだが)、キャバクラ報道等の事実も再現される。
具に憶えていないが、前半は教育論の開陳があったり、設定や人物説明的なやり取りでリアリズム劇のトーンが続いて、風刺劇の要素が見出せず、全体としても正攻法で政界の腐敗に迫る作劇の方が「完成形」への近道だったのでは、という感触がある。
些か難じれば、約十年前になる森友、加計問題は結果的に有耶無耶にされた。この事実が当時の時間軸で、政界の裏側暴露のノリで「風刺」の色合いを示すのであるが、やはり風刺は「今」と思える時事を扱い、嚙みついてこそと思う所。「今そこ突いてもな・・」となるのだ。
スキャンダルにまつわる事実が、「今」に及ぼすものを摑まえ、描からたい。例えば安倍元首相が死してなお残す権威、その威を借る高市、その人気にあやかる自民党議員、それにさらに群がる「政権を助太刀しますぜ」と秋波を送る(一つだけに留まらない)野党の面々・・これらを揶揄できてこそ、痛快な風刺として胸がすいた事だろうと思う。
終演時に感じたのはそのことだった。