歌を歌わないように食べる昨日 公演情報 クロムモリシタン「歌を歌わないように食べる昨日 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    全く何も知らず観た。橋爪未萠里さん、土本燈子さんの名前を頼りに。今年観た笑いを追求する作品の中で一番のレヴェル。開始当初はコントの寄せ集めのように思ったが、作家の哲学や価値観に根本となる幹がある。その場の受け狙いや取り繕いではなく思考回路そのものに興味を持たせるような。適当にメチャクチャをやるのではなく、理路整然と法則に則ったメチャクチャをやっている。

    森下亮氏は博多大吉の内藤陳寄せの感じ。
    久保貫太郎氏は本能的に恐怖を感じた。この手の人間はマジでヤバイ人が多い。
    MVPは渡邉とかげさんなんだろうな。完全に気が違っている。全く放送出来ないレヴェル。
    土本燈子さんもかなりヤバイ。客を笑わせる為とかそういうベクトルのものではない。宗教的儀式?唐十郎作品に登場する腹話術人形の邪悪さ。
    果敢に喰らいつく橋爪未萠里さん。
    小林義典氏はさらば青春の光の森田哲矢っぽい。
    花戸祐介氏は八頭司悠友氏に似ている。

    一番狂っていた頃の『ごっつええ感じ』のコント、キャシィ塚本シリーズの笑いや相原コージ&竹熊健太郎の狂気系の笑いに近いのか?
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    ロマン・ポランスキー主演の『記憶の扉』のようなシーンから開幕。森下亮氏が刑事・久保貫太郎氏に取り調べを受け、昨夜の行動について確認されている。「昨日は小劇場で芝居を観ました。」「どんな内容だった?」「途中で寝てしまったのでよく覚えていません。」「それじゃアリバイにならないだろう。途中まで観ていたんならそこまでの内容を言える筈だ。」「男が刑事に尋問されていたような。」「それで?」「特に何もなく暗転していくんです。特に何の意味もなく。」そんな会話から舞台が暗転していく。

    小林義典氏の撮っている自主(?)映画。未来からやって来た男の話。主演の花戸祐介氏は納得がいってない。脚本を1ページずつしか読ませてくれないのだ。どういう話か判らない。監督が席を外している内に台に置かれていた脚本を最後まで読んでしまう。それを知った監督はこれから脚本を全部書き換えると言う。ある筈だった未来を変えてしまう行為こそ世界改変と同じだと花戸氏は指摘する。

    小学校教師である渡邉とかげさんはかなりのADHD生徒、土本燈子さんに絵日記を書かせている。もっとダークで暗くハードで辛いモノをと要求。土本燈子さんは教え通り、とんでもないものを書き始める。『20世紀少年』の“よげんの書”のように。

    突然の道路陥没事故で行方不明となったトラック運転手、森下亮氏。その妻、渡邉とかげさんは世間から心配されているがその実、嬉しくてたまらない。同じマンションに住む橋爪未萠里さんは何か情報を掴もうと善意のお手伝いとして彼女の家に潜入する。エア卵焼きを二人で作って踊る。

    小林義典氏と花戸祐介氏の撮影現場に森下亮氏が現れる。記憶喪失で自分が誰かまるで判らない。監督は彼のドキュメンタリーを撮ろうと決める。奥さんとの感動の再会が見せ場だ。

    どうも森下亮氏は妻である渡邉とかげさんを未来で殺すことになるらしい。その罪で捕まることに。もろフィリップ・K・ディックの『マイノリティ・リポート(少数報告)』。

    「未来も過去もあるが今だけがここにない。一番重要な今だけがないんだ。」作家の叫び。

    渡邉とかげさんの頭の中に住む土本燈子さんが書いた絵日記帳。未来、読むドラッグとして戦場に送られる兵隊の洗脳教育に使われるらしい。それを阻止しようと土本燈子さんの命を狙う者達。未来の戦争を止める為に。土本燈子さんの書く内容を薄めれば徴兵検査に落ちる程度の狂気の発症で済むことを知り、これで無事戦争は止められた!狂気は戦場で虐殺を繰り広げもするが、徴兵忌避にも使えるのだ!

    途中、夢野久作『ドグラ・マグラ』や寺山修司を強く感じた。令和風にトランスレーションされた正統派アングラなのかも知れない。そこに日本的郷愁や戦前の田舎の村の風習などを振り掛ければ寺山修司になりそう。狐の面、モンペ、セーラー服、唱歌、柱時計、白塗り学生服、戸籍簿、遊女、軍人、紅い着物、鬼ごっこ···。

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    2026/09/14 20:56

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