労働です 公演情報 範宙遊泳「労働です」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    細密に空気を描く
    入場したときには
    座席の組み方からして
    とても、こんなに細密に空気が組まれていくとは
    思ってもみませんでした。

    わくわくと労働のリアリティを楽しむことができました。

    ネタバレBOX

    創り手の空気を描写するスケッチ力のようなものに感嘆しました。

    メーカーに勤めていたりするので
    現場の雰囲気ってわかるのですが、
    その匂いがそのまま場内に満ちていく感じ。

    それは、仕事の質感や個々動作にとどまらない
    働くマインドのリアリティであったりして。
    雰囲気にとどまらないもう一段深度をもった
    空気の切り取りがあるのです。

    もちろん、
    地球を回すという仕事や生産しているもの自体が
    多くの寓意に満ちているし
    実際の仕事ぶりも
    たくさんのデフォルメで形成されているのですが
    その組み合わせから滲みだしてくる
    場の色にぞくっとくるようなリアリティがある。

    前回公演でも強く感じたことですが
    作り手の描く力、
    特に目に見えるものにとどまらず
    肌や感覚を切り取り
    それを再び一つの感覚として再構築していく
    技量にふたたび目を見張る。


    役者たちも
    それぞれが素敵に地味な感覚を細かく重ねるように
    創りこんでお芝居をしていて
    それが架空の工場のなかで
    あざとくなく生きる。
    どこかそぎ落とされていても
    地に足がついている感じがあって・・・。
    また、仕事場に漂うものの緩急の切れがすごくよい
    引きずる感覚やすっと消える感情などが
    くっきりと表現されているから
    場がぼやけない。

    多分、あるものをあるものに描いたとしても
    よしんば職場そのものを見続けていても
    絵にならないものが
    ノイズなしに確実に捉えられていくのです。

    観終わって、
    奇想天外な感覚がまったくなく、
    さらには日々の暮らしから
    社会の歯車の動きや
    その集合体としての世界への見晴らしまでが
    すっと通ったような気持がして。

    初日だし、更なる精度がきっと生まれるのだろうし、
    更なる進化の余地はあるのでしょうが、
    でも、あっさりしっかりと
    彼らのファクトリーに閉じ込められてしまったことでした

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    2011/03/11 06:57

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