ひまわり認定こども園の悩める人々 公演情報 Pカンパニー「ひまわり認定こども園の悩める人々」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2026/09/05 (土) 19:00

    座席1階

    教育現場など関係者に綿密に取材して戯曲を組み立てる山谷典子の珠玉の一作。今作はPカンパニーの「罪と罰シリーズ」の一環として上演されることで、教育・保育現場から民主主義を考えるという力作に仕上がっている。

    パンフレットに書かれた「おとながこどもと向き合うこと おとながおとなと向き合うこと それは社会と向き合うこと それは世界と向き合うこと」という一節が象徴的だ。舞台は認定こども園。制度改正で幼稚園と保育所が一体化し、幼児教育と保育を同じ現場で行うという施設だ。創設されて20年たつのにあまり知られていない制度なので、冒頭に簡単な説明がある。幼稚園による幼児教育(文部科学省)と父母の就労などで必要な保育を提供する(厚生労働省)が枠組みを超えて創設。画期的ともいわれたが、幼稚園系(教諭)と保育所系(保育士)のすれ違いなど、舞台はリアルな細部まで触れている。

    物語は、都心などで近年メジャーになっている私立小学校へのお受験対策を重視する保護者にアピールするカリキュラムを進める教育コンサルタントの女性と、さまざまな家庭環境の子を受け入れて寄り添うインクルーシブな保育を行ってきた男性園長との対立構造が中心に据えられている。ここで働く教諭・保育士たちは園の方針に戸惑いながら、葛藤を抱えながらも日々奔走する。この女性が導入を明らかにしたあるシステムが波紋を呼ぶ中で、事故が起きる。

    SNS(旧ツイッター)で不満やもやもやを発信する保育士。書き込みを背景に投射し、分かりやすい演出がなされる。入職したばかりの男性保育士の存在や、彼が請け負っていた仕事の中身が衝撃的だ。そのほか、現職保育士もうなづく「保育士あるある」のエピソードが満載。これまでの山谷作品の中でもリアリティーが濃い展開はとても満足できる。

    ここ数年のトレンドであるインクルーシブ教育の在り方にも、この戯曲は考えるべきいくつかの論点を提示しているところがまた、秀逸だ。保護者、教諭・保育士、誰もが子どものためと思って行動しているのになぜ、問題が起きるのか。この点が、この戯曲が示した最高の見どころだと思う。

    今日6日が千秋楽。見て損はないはずだ。

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    2026/09/06 11:22

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