満足度★★★★★
下手したら人生観が変わってしまうかも。
たとえば飛び降り自殺の現場に群がる人々が携帯カメラで死体を撮影している光景だったり世界遺産に相合傘とか書いて思い出づくりしちゃってる旅行者たちのイノセンスな悪意に対して常識という名の偽善で落とし前をつけないで、ストレートに殺意を向けること、全力で嫌悪感を抱くことこそが市民感覚として正常なのではないかという歪んだ正義がもたらす優越感や、すべての人間には裏があってグロテスクな変態性が息を潜めているという他言厳禁な本音に向かってつき進んでいくときの奇妙な時めき、あるいは淫靡な愛欲に溺れ壊れゆく者の精神性や、欺瞞と虚飾に満ち溢れた世相の仮面が剥きはがされる瞬間の目を逸らしたくなる反面、最も知りたい人間元来の持つディープな本性、生理、潜在的な欲望をまるごとがっつり目の当たりにしているという罪悪感が何ともたまらない気持ちにさせられる。
これは観るひとによってはこれまでに信じて来た人間観/倫理観/価値観が覆されて下手したら人生観が変わってしまう演劇かもしれない。