公演情報
劇団ゴラクザ「ハイウェイの煙」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★★
埼玉のシニア劇団、ゴラクザ『ハイウェイの煙』。
SAの喫煙所に取り残されし人々。喫煙所でしか生まれない会話があり、空に溶けてく煙に紛れてやっと言えるような言葉があり、それは時に取り残してしまった人生の時間や季節のことだったりする。溜息でも深呼吸でもある様な滋味深い息遣いに耳を傾ける70分。
※以下はアフタートークで感じたことです。
劇団ゴラクザ『ハイウェイの煙』キャストの本橋めめさんと作の本橋龍さんの親子トークもすごくよかった。
少し前、新国立劇場で上演された作品のアフターライブで、ゲストの小山田壮平さんが演劇人であったお母様とその育児に触れて、同時はわからなかったけど母はこんな景色を見ていたんだなと今わかって感動しています、みたいなお話をされていて、それはしばしば子どもをおいて演劇の仕事に出かける自分にすごく響いてお守りみたいな言葉になったんだけど、今回の親子トークも私にとって本当に励みになるようなものだった。
めめさんは龍さんが演劇を始めたことをきっかけに自身も演劇を始めたらしく、実際に劇団にも入り、今作は埼玉のシニア劇団としては異例のSCOOLで上演をされた。それが本橋さんが脚本を引き受ける上での唯一の条件だったというお話もとても響いた。劇団の活動や演劇をひらいたものにしようとする思いを感じたし、さらにそれを受けてめめさんが身内だけで盛り上がらないようにご友人を積極的に呼ばなかったという話もすごくかっこよかった。
なんというか、子育てをしていると嫌でも親から子に影響を与えてしまうしそれは良くも悪くも子どもの価値観の形成にも繋がるのだけれど、こうして子どもから影響を受けることもたくさんあって、それが自分の人生の新しい扉を開くことに繋がるというのは、なんだかとても育児そのものが他の様々に負けないくらいクリエイティブなものであることを示しているようでもあってすごく励まされた。私も娘がバレエやHIPHOPを習い始めた時、一瞬一緒に始めようと思ったのだけど時間も根気も持ち合わせてなくて、ピアノの連弾で精一杯だった。なかなかできることじゃないのがわかるから、こうしてホームを脱して東京の劇場に立ち、自分を表現することに向かうめめさんたち俳優さんは本当にかっこいいと思ったし、シニア劇団がやるにぴったりの生き様の滲むような本を書き下ろした龍さんも劇作家としてすごいなと思ったのでした。
自分ができる親孝行だと思ったと龍さんは仰っていたけれど、それだけでなく演劇や劇団をひらいたものにする演劇作家本橋龍の魂がしっかり宿っていて、それに応答する演出含めてゴラクザもかっこいい!と思いました。
演劇がこんなふうに営みであることも、親と子が対等な関係でともに成長したり、新しい何かをつくれるということも私には大きな希望でした。私も演劇の仕事も育児もがんばろうと思ったし、私もこんな風に子からも素直に影響や刺激を受けて対等かつクリエイティブな関係を結びながら、何歳になっても成長したい。俳優として劇団として劇作家として、そして生き様としてかっこよかったです!
満席の大盛況でめめさんは「龍さんのおかげ」と仰ってて、たしかに龍さんの素晴らしい演劇力や存在に支えられた作品でもあるけれど、私は地域のシニア劇団であるゴラクザがこうした場で勝負に出ようとする姿勢に心惹かれたことも観劇の大きな決め手でした。人生の先人として憧れるかっこいい勝負だった。