ホネホネ山の大動物 公演情報 南極「ホネホネ山の大動物」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    南極『ホネホネ山の大動物』を指折り楽しみにしてた子らと。『ゆうがい地球ワンダーツアー』で白熱し南極が劇団監修の『未来のムスコ』も見てた二人。今回は親子演劇でこそないけどそれでも38歳と7歳と12歳の心を掴んだ。それもまた南極のマジカルだ。
    ママ泣いてたね、私も泣きそうだったと娘が言った大人向きとか子ども向きとかを飛び越えて目の前で起きていること、その重なりによって生まれるドラマで大人であろうと、子どもであろうとその心を動かす。それって、やっぱりちょっとすごいことを起こしている気がする。あと、若い観客つまり新しい観客を魅了するって、それはやっぱり一つの希望だ。

    少し突っ込んだ感想をネタバレBOXに。

    ネタバレBOX


    南極はデザインの行き届いた世界観に注目が集まりがちだけど、内側を貫くテーマ、つまり戯曲や演劇の核になるものがきちんとある。今回そのことをより強く感じた。私は「反戦」だと思った。
    それも、争いを知らない世代が争いに終止符を打とうとする話だった。
    戦後80年、戦争経験者の声が届きづらくなる今、憲法や平和が揺らぐ今、それはまさに若者である私たちに置換される。

    化石から真実を読み解き、その実証に足りない化石を堀り続ける、という行為も示唆的に思えた。そしてそうしたことに、20代の若手劇団が総力を注いでいること、大勢の若い観客に届けていることにもすごく、すごく意味があると思う。演劇はライブだが時差がある。1日、1ヶ月、1年と後々気づく感情や実感もある。だから子供と観られた事もすごくよかった。

    化石とされてしまったもの、遥か昔の出来事とされてしまったものに思いを馳せ、時に本当にそうか?とQを投じるシーンもあった。当然戦争はなかったことにはできないが、化石にだってならない。反戦を化石にならせてはならない。父とその盟友だったはずの男との骨肉の争いの後に生まれた子どもである九輪微熱が声を震わせ、絞り出すように言う最後のセリフ、争った二人を「&」で結ぶその一言を聞きながら、私はそんなことを考えた。

    『ホネホネ山の大動物』は化石をめぐるマジカルでファンタジックなSF、そして友愛の物語だ。それに間違いはない。だけど、それでいて痛切で骨太な社会劇だと、反戦の、平和への強い祈りが込められた作品だと私は思った。そして南極の作品性、こんにち博士の作家性において、そうした側面は今こそ語られるべきだと思った。おしゃれでポップでジャンルレスなだけじゃない。マジカルだけど魔法じゃない、人力だ。1人1人の人間の力だ。

    先鋭的で洗練されているだけではなく、泥臭く非効率であろうとも直向きに集い、ともに時代を変えようとするその劇団や俳優や作家の力は、人間の共同体の在り方は、演劇の流行などでは収まらない、その先にあるものを見つめている気さえしてくる。少なくとも私にはそう見えた。本作を通じてそう思った。
    私は文筆家だからお金をいただき劇評として発表する方がプロとしては正しいのかもしれないけど、時間が経ってしまう前に、というか在らん限りの速さで書いておきたかった。

    最近色々思うところや傷つくこともあり長い感想を書くのはやめていたのだけど、『花よりタンゴ』しかり「反戦」への意思表示も含む感想を、私はターゲット層が絞られる特定のメディアではなく、あえてこの荒廃の、争いの絶えぬ海に、いや山に残そうと思う。たとえ私が化石になろうとも、燃えさかろうとも、その言葉を骨や灰にしてたまるか、という執念に近い意志を添えて。

    0

    2026/08/31 23:42

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大