夢去りて、オルフェ 公演情報 アン・ラト(unrato)「夢去りて、オルフェ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    朝海ひかるさんのファンは必見。彼女の魅力が今作に全て詰まっている。主人公、大石継太氏65歳だと⁉成河と役所広司を足したようなエネルギー。凄い作品であることは確か。セットが蠱惑的。燃えて廃墟となった遊園地の回転木馬。青く照らされる焼けた3頭のポニー。まるで串刺しにされたかのように死んでいるブロンズ。下手奥、時折巨大に浮かび上がる月。波の音、ひらひらと舞う焼け焦げた旗、ぼうっと浮かび上がるススキ。朝海ひかるさんの女優の業みたいな炎が背後からメラメラと立ち上る。
    テーマは『許されぬ愛』。

    北一輝は新潟県の佐渡島(さどがしま)に生まれた。二・二六事件とは1936年(昭和11年)2月26日に陸軍青年将校達が東京で起こしたクーデター。1919年(大正8年)に北一輝が書いた『日本改造法案大綱』が彼等の精神的支柱になったとされ、1937年(昭和12年)8月19日に処刑される。舞台の時代はその2年後、佐渡島を対岸に臨む新潟県の酔ヶ浜(すいがはま)。主人公、大石継太氏は北一輝に心酔し、今も密かに生きていると周囲に吹聴。中学校国語教師の教職を追われた彼を警察は危険人物として監視している。

    冒頭、加納幸和氏が現れる。警察官だった亡き父の遺品を整理した折、手帳に記された謎の文面が気になり調査したと。『昭和14年、夏。黒い墓のように着込んだ外套の下には朝焼けに滅んだ町が隠れている。燃える馬。死体』。この作品はそれを息子である自分が調査推理したものであると。彼は新潟県出身の清水邦夫自身であろう。ばら撒かれる謎の数々。

    登場人物の北一輝への偏愛からベルナルド・ベルトルッチの『暗殺の森』をイメージさせたが、政治的にはならずつかこうへい的な屈折した愛情の物語となった。

    オルフェとは死んだ妻を連れ戻しに冥界にまで行った男。結局、取り戻せない。タイトルは手に入らないものに執着する男の意味なのか?

    チェーホフの『三人姉妹』が繰り返され、「タランタンパタン(?)」と踊りは続く。

    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    加納幸和氏は野坂昭如を強く感じた。
    舞羽美海(まいはねみみ)さんは美人過ぎる。
    佐奈宏紀氏のファンが多かったと思う。山本耕史っぽくてカッコイイがちょっとふっくらし過ぎか。226をだぶらせる物語なだけに鬼気迫る青年将校の亡霊に徹した方がよかった。
    平体まひろさんが出るとは知らず、ささっと登場した時には驚いた。見事に朝海ひかるさんと対峙。後半のキャラ設計には慄いた。
    辞めた敬愛する教師を捜す中学生達のキャラ設定も練りに練ってある。まさかの功夫シーンも。

    ※大石継太氏がもて過ぎ。連れ子同士の再婚で出逢った妹との秘めた恋。妹に惚れた親友の恋路を遠回しに邪魔をする。恨んだ親友は妹と北一輝の関係を邪推させて復讐。北一輝が処刑されたその日に遊園地の回転木馬に放火する大石継太氏。北一輝に父親を感じて陶酔していたがお前の思想なんか矛盾だらけのその場の取り繕い、全く評価に値しない。だが大好きだった!また末の妹と結婚した夫が、彼女の大石継太氏への愛情を知り彼を酷く憎むことになる。

    ※自分の誤解かも知れないが最後の遣り取りで主人公は末の妹も愛していて、朝海ひかるさんがショックを受けたのだと捉えた。

    ※ぽっぺん(ビードロ)の音を初めて聴いた気がする。

    0

    2026/08/24 21:16

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大