魚雷モグラ‘26 公演情報 ウラダイコク「魚雷モグラ‘26」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2026/08/07 (金) 18:00

     長崎に原爆が落ちた日の前の日々と、原爆投下当日、投下後の生き地獄を丁寧に、時に詩的に、コンテンポラリーダンスの要素や、長崎と言えばキリスト教会のマリア像のイメージを役者で表現したり、教会音楽が爆音で流れたり、爆弾の爆発する音等が、まるで戦中のその場所にいるかのように錯覚させられるような没入感を強く感じた。
     勤労奉仕として、今まで学校で勉強していた女学生たちが、勉強は終わりになり、地下の魚雷工場で働くことになるが、原爆投下後の放射能や黒い雨等の後遺症により次々に大事な女学生仲間であり、工場仲間でもある仲間たちが亡くなっていき、または苦しみながら生きている人等の悲惨さを描いていて、悲しく、また心が傷んだ。
     そして全体的には、かなり悲惨だが、モグラの王女様が地下魚雷工場トンネル内に現れ、復讐しにきたと言うことで、突如ファンタジックな要素が入ることで、バランスが取れていて良かった。
     モグラの王女様は、そのお父さん、お母さん、親類縁者、国民が全滅させられたということから、人間を恨んでいることが分かってくる。
     モグラは、農家にとっては害獣だが、それは人間の側の理屈で、それで靴で踏んづけてモグラを殺したり、モグラ穴を埋めて窒息死させようとしたりして良い理由にはならないと言うようなことをモグラの王女様が言うのが、完全に間違っているとも思えず、だからと言って、一方の言い分が絶対に正しくて、もう一方の言い分は間違っているかと言うと、物事はそう単純じゃないと感じた。
     このファンタジックで擬人化されたモグラの王女様という要素をねじ込むことで、どうしても日本で太平洋戦争を描くと被害の側面が強調されがちだが、無意識の加害性にも焦点を当てていると感じた。
     先の大戦が下手したら、美談になりかねない論調や総理の治世にあって、また世界のどこかしらで常に戦争、紛争が起きる時代にあって、そのファンタジックで擬人化されたモグラの王女様を出すことで、スッと日本のと言うか、誰でも、戦時において、加害者にも被害者にもなりうることが分かり易く捉えることが出来た。

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    2026/08/21 02:06

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