巨匠とマルガリータ 公演情報 地点「巨匠とマルガリータ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    何年振りかの地点(今調べたら2023年2月以来)はお馴染みKAAT神奈川芸術劇場で。三浦氏の演出舞台としては、一昨年末に新宿FACEで異色の俳優陣による「三文オペラ」があったが(ぶっとんだ演出ではあったが地点とは異なった・・地点的アプローチを体現する俳優としては安部聡子が配されて実際そういった立ち位置を担っていたが、私としては音楽が跳び過ぎで今一つであった)。
    さて、KAATの奥行きあるステージには、演技エリアが舞台手前際から縦に長い長方形に設えられている。台状のものが置かれてあったか記憶にないが、そう認識している理由は、可動式の幕が最初は抽象的映像を映して手前に張られているのが、幕幅の端に二本張られたワイヤーに沿って奥へ、また手前へと動かされるそのエリアに当たる事による。幕を吊るワイヤーを這うロープが舞台手前で床に伸びており、俳優がそのロープを動かして幕の位置を変える。両側に二人立つ事もあれば、一人が左右交互に一定幅ずつずらして行く(その間彼は喋り続けている)場合もある。俳優は幕をサイドから回り込んで移動する事もたまにあるが、基本エリアに収まっている格好。
    奥行き三分の二あたりの床に照明が置かれ、役者の影を幕に映し出す。幕の切れ目からは人が出入り出来る。幕は一人で両サイドを交互に引っ張る(その間台詞を出し続ける)事もあれば二人で引いていく事もある。幕は映写幕にもなり文字やら何か映像が絶えず流れている。後半幕裏のカメラが捉え加工された役者の姿が映され、顔の表情が抽出された不思議な表現となる。勿論、生ではないが地点に欠かせない音楽家の音も絶えず流れている。

    かように刺激的な演出ではあるが、ブルガーコフの本作の内容は(元々不知ゆえ)分からなかった。地点の舞台は作品の梗概を押さえて鑑賞すべし、だ。
    これが舞台として成立する理由についても(毎度の事だが)考える。登場人物のキャラクター、性質、職業、属性などは少しずつ解っていくが、人と人の絡み、ストーリーは不明のまま。分からない物を知っていく(知ろうと見ていく)面白さは、「分かる」に至るまでは(上手く導かねばならないが)持続する。分かってしまう瞬間を遠のかせ、謎のままに置くのは、一つの正解なのかも?
    しかし人の脳に刻まれるのは人の感情だとすれば、何がしか感情の発露、その欠片が飛散してもいたという事なのだろうとも思う。それは通常登場人物の感情、と思われるが、観客が見ているのは役者自身でもあり、作り手の意図でもあり、創作の意思であり、それらを通じて、つまりそこで起きている現象を通して、ブルガーコフの本作にまつわる何かを受け取っている、と信じたい(ここは信じるしかなく、検証したければ原作に当たるしかない)。

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    2026/08/16 21:09

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