公演情報
風雷紡「卓」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★
面白い。
戦前からの家制度と戦後の世相、それを諏訪の旧家藤盛家を通して紡いだ社会劇でありサスペンス劇。狂言回しというか 語り部による抒情的な台詞が 家業である蚕糸業に擬えた象徴的なもの。蔟、蚕、繭、蛹そして蜘蛛といった言葉、そこに込められた思いこそ柵(シガラミ)であり自由に飛べない当時の状況を端的に表している。
出征した兵士、そこには お国のために という思いと死にたくないといった人としての葛藤、苦悩が描かれている。そして帰還しても なお戦争責任を負わせる理不尽さ。蜘蛛と巣にかかった獲物との関り、それが空虚や虚脱という社会状況を表しているよう。戦争を背景に、家族(制度)の中に人間や社会といった関係性を巧みに描き重層的に観せる。そこに作・演出の吉水恭子さんの問題意識を観るようだ。
全体的に戦後という混乱期、先の見通せない不安 そして柵的な意味で蔟を象徴しているような舞台美術が秀逸。シンプルであるが重厚といった雰囲気、しかし実際は 柱と梁だけという隙間の大きな空間、そのアンバランスさが当時の状況そのもの。ただサスペンス/ミステリーとしての動機が しっくりこないところが気になった。
(上演時間2時間10分 休憩なし)追記予定