公演情報
松竹「成瀬は天下を取りにいく」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2026/07/21 (火) 11:00
2024年の本屋大賞を受賞した宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りにいく」と続編の「成瀬は信じた道をいく」の舞台化。2026年7月4日に東京のサンシャイン劇場で初演され、16日から京都・南座で上演中、28日からは滋賀の大津市民会館ホールで上演される。
南座は京都市の四条大橋東詰にある劇場で、四条通の南側に位置していることから南座となった。江戸時代初期の慶長年間(1596~1615年)に起源を持ち、当時には四条河原には幕府公認の芝居小屋が7座存在した。江戸時代中期には四条通りの南と北、大和大路の西の3座となったが、西が1794年の大火で焼失し、さらに1892年(明治25年)に四条通の拡張に伴って北が閉鎖され、南座のみが残った。
1906年(明治39年)に松竹に買収され、以後松竹の直営となっている。現在の建物は1929年(昭和4年)に桃山風意匠の鉄骨鉄筋コンクリート造5階建てで建てられたもの。1991年に改修工事が行われ、1996年に国の登録有形文化財になった。その後、2016年から2018年まで掛けて大幅な耐震補強工事が行われ、2018年秋に新開場した。現在は地上4階地下1階で、客席数は1082席。
歌舞伎を中心にした公演を行っており、特に毎年11月末日から12月末まで行われる吉例顔見世興行は京都の風物詩となっており、劇場の入口上にずらりと並べられる、役者の名前を勘亭流で書いた白木の看板(通称まねき)は有名。現在は、今回のような現代劇の舞台や、ミュージカルに、ミュージカルや映画のワールドプレミア、さらに京都の花街の公演なども行われている。私は初めて入った。
今回の舞台の原作者の宮島未奈さんは1983年10月静岡県富士市生まれの小説家・随筆家。静岡県立富士高校から京都大学文学部に進む。大学卒業後は静岡県内で公務員として務めるが、25歳の時の結婚を機に退職。その後夫の仕事の都合で滋賀県大津市へ移る。29歳の出産を機に在宅でできる仕事を探し、マネー関連や通販サイトの記事を書くライターとなる。
その後小説に取り組むようになり、2018年に宮島ムー名義の「二位の君」でコバルト短編小説新人賞を受賞。2021年には「ありがとう西武大津店」で女による女のためのR-18文学賞の大賞、読者賞、友近賞をトリプル受賞。
「成瀬は天下を取りにいく」は女のためのR-18文学賞を受賞した「ありがとう西武大津店」を含む連作集で、2023年3月に出版され、2024年に坪田譲治文学賞と本屋大賞を受賞。「成瀬は信じた道をいく」は翌年の2024年1月に出版され、2025年の本屋大賞に2年連続ノミネートされたが、10位に留まった。なお、シリーズ完結編として位置付けられる3作目の「成瀬は都を駆け抜ける」も2025年12月に出版されている。私は全部既読。
総称して成瀬シリーズと呼ばれ、大津市と京都市を舞台に、主人公・成瀬あかりが中学生から大学生の間に周辺で起こる出来事が主にあかり以外の登場人物の視点で描かれている。
成瀬あかりは2006年5月生れ、大津市膳所出身。あけび幼稚園からときめき小学校、きらめき中学、膳所高校、京都大学理学部と進む。あけび幼稚園、ときめき小学校、きらめき中学は架空の幼稚園に学校だが、ときめき小学校は大津市立平野小学校、きらめき中学は大津市立打出中学校がモデルとされる。
膳所高校は実際に膳所に存在する1898年(明治31年)開校の滋賀県第二尋常中学校をルーツとする名門高校。京大などの国公立大学に現役で150 - 200人程度が合格する他、かるた班(膳所高校では部活動の単位を「班」と呼ぶ)は近江神宮にて行われる全国高校小倉百人一首かるた選手権大会で準優勝1回、3位を5回成し遂げている。2018年の選抜高校野球には21世紀枠で野球班が出場した。鉄道ライターの種村直樹さん(36年早生れ、14年没)、元東京ロマンチカのメインボーカルだった三條正人さん(43年早生れ、17年没)、現滋賀県知事の三日月大造さん(71年生れ)らは卒業生。
京都大学理学部は京都市内の吉田キャンパスにあり、学部は理学科1学科、研究科は数学・数理解析、物理学・宇宙物理学、地球惑星科学、化学、生物科学の各専攻を持つ。付属施設で花山天文台、飛騨天文台、別府市の火山研究センター、植物園などを持つ。ノーベル賞を受賞した湯川秀樹先生、朝永振一郎先生、利根川進先生、赤崎勇先生、フィールズ賞を受賞した広中平祐先生、森重文先生は理学部卒業者。
舞台の前半、1時間10分は「成瀬は天下を取りにいく」から脚色されており、閉店を控える西武大津店に通い続ける「ありがとう西武大津店」、漫才コンビ「ゼゼカラ」を結成する「膳所から来ました」、小中高の同級生である大貫かえでと東大のオープンキャンパスに出掛ける「線がつながる」、全国高校かるた大会に広島県代表として出場した西浦航一郎との出会いの「レッツゴーミシガン」、ときめき夏祭りで漫才を披露する「ときめき江州音頭」がまとまられている。
後半の約1時間は「成瀬は信じた道をいく」からで、あかりがバイトしている近所のスーパー・フレンドマートでの出来事を描く「やめたいクレーマー」、篠原かれんと共にびわ湖大津観光大使に就任する「コンビーフはうまい」、2025年の大晦日、「探さないでください」と書かれた書置きとスマホを残し突然姿を消したあかりの話の「探さないでください」をまとめている。
主人公の成瀬あかりを演じるのは山下美月(みづき)さん。99年7月生れ、東京都西多摩郡瑞穂町出身。瑞穂第一小学校から瑞穂中学校へ経て、都立東大和南高校へ進むが、在学中の2016年に乃木坂46の3期生オーディションに合格。日出高校(現在の目黒日本大学高校)に転校し、卒業。2024年5月に乃木坂46を卒業。
女優としては2019年1月から3月にBSテレ東で放送された三浦貴大・安藤政信W主演の「神酒クリニックで乾杯を」のヒロインとしてデビュー。2022年10月からの朝ドラ「舞いあがれ! 」では主人公舞(福原遥)の小学校からの親友、久留美を演じた。映画「六人の嘘つきな大学生」や「新解釈・幕末伝」、「キングダム 魂の決戦」にも出演している。舞台主役は初めて。
相方(?)の島崎みゆきを演じるのは藤野涼子さん。00年2月生れなので、美月さんと同い年。横浜市出身で、地元の小学校・中学校に進み、中学生の時にオーディションに応募し、2015年に公開された映画「ソロモンの偽証」の前後編の主役としてデビューした。芸名はその主役の役名をもらった。高校は県立の横浜清陵総合高校に進み、ダンス部に所属していた。
2017年4月から放送された朝ドラ「ひよっこ」で有村架純演じる主人公のみね子の同僚で寮の同室の豊子を演じた。2021年の大河ドラマ「青天を衝け」では吉沢亮演じる渋沢栄一の妹、ていを演じた。
あかりの母、美貴子を演じるのは田畑智子さん。80年12月、京都・祇園の享保年間創業の老舗料亭「鳥居本」の娘として誕生。小学校から伏見深草にある聖母女学院に通うが、高校の時に大阪高槻の金光第一高校(現金光大阪高校)に転学、龍谷大学に進んだが、中退した。
小学校の時、映画監督の相米慎二に誘われてオーディションを受け、1992年公開の映画「お引越し」の主演女優としてデビュー、新人賞を多数受賞した。2000年4月から放送された朝ドラ「私の青空」の主演を務めた。朝ドラは2006年下期の「芋たこなんきん」でも藤山直美演じる主人公町子の義妹として出演。大河も2002年の「利家とまつ」、2004年の「新選組!」に出演している。夫は俳優の岡田義徳で、2人の子供がいる。
あかりの父、慶彦を演じるのは天宮良さん。1962年4月生れで、東京三鷹市出身。ミュージカル俳優を志し、高校1年時に日本テレビ音楽学院に入学。卒業後、1984年のドラマ「昨日、悲別で」の主役としてデビュー。以降、連続ドラマなどでは主要な役中心に活躍し、現在は舞台や2時間ドラマの脇役として主に活動している。大河ドラマの1995年「八代将軍 吉宗」、2000年「葵 徳川三代」、2006年「功名が辻」にも出演している。
相方(?)島崎の母を演じるのは明星真由美さん。70年12月生れで、大阪府出身。1990年、早稲田大学演劇研究会に入会し、以後主に舞台女優として活動。2001年から2005年までは氣志團のマネージャーを務めた。現在放送中の朝ドラ「風、薫る」では三上愛演じる主人公りんを指導する外科勤務の看病婦須永ヨシを演じた。
クレーマーの呉間言実を演じるのは山崎静代さん。山ちゃんとコンビを組む南海キャンディーズのボケ担当。79年2月京都府福知山市生れで、大阪の茨木で育つ。春日小学校、西中学校、茨木西高校を経て、聖和大学短期大学部に進む。
短大在学中に中学の同級生と女性コンビ「西中サーキット」を結成、短大卒業後は吉本に所属し、2002年にABCお笑い新人グランプリ審査員特別賞を獲得するが、2002年に解散。翌年、南海キャンディーズを結成、2004年のM-1グランプリで準優勝してブレイクした。
2007年からボクシングを始め、2012年のロンドン五輪、2016年のリオデジャネイロ五輪を目指したが、夢かなわず2015年に引退。
女優としては2006年の映画「フラガール」で本格デビュー。日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞した。藤野涼子さんも出演した「ひよっこ」では主人公みね子の叔母を演じた。舞台にも数多く出演している。
その夫、呉間祐生を演じるのは小林大介さん。77年7月生れで神奈川県出身。2006年に劇団花組芝居に入座。以降殆どの公演に出演。基本的に立役だが、時には女形も務めている。
全国高校かるた大会で出会う広島の高校生西浦航一郎を演じるのはISSEIさん。04年2月生れで、東京都出身。中学入学時にジャニーズ事務所(現在のSTARTO ENTERTAINMENT)に入所。2017年から東京B少年(後の美 少年)に金指一世(かなさし いっせい)として加入し、2020年にはメンバー6人で主演を務めた連ドラ「真夏の少年~19452020」で、主役の一人、双子の弟の山田和彦を演じた。このドラマ見たわ。ISSEI君のことは覚えてないが、博多華丸さんが太平洋戦争末期のグアム島からタイムスリップした軍人を演じたのはよく覚えてる。
2024年10月にSTARTO ENTERTAINMENTを退所、タッキーのTOBEに移籍し、以後ISSEIとして音楽活動やテレビドラマ、映画、舞台での役者活動を行っている。
あかりと小中高の同級生である大貫かえでを演じるのはアサヌマ理紗さん。91年8月岩手県釜石市生れで宮城県仙台市で育つ。フリーペーパーの挿絵や古着屋の壁画を描いていたが、大学卒業後、アパレル企業のOLを経て2015年に女優デビュー。2020年にエミィ賞グランプリでエミィ賞を受賞。チョイ役だが、最近の連ドラ、岩田剛典主演の「DOCTOR PRICE」、桜田ひよりと佐野勇斗主演の「ESCAPE それは誘拐のはずだった」などにも出演している。「ESCAPE」は見たけど、全く覚えてない。
びわ湖大津観光大使をあかりと一緒に努める篠原かれんを演じたのは青山美郷さん。94年10月兵庫県生れで、阪急宝塚線沿線の雲雀丘学園中学校・高校から東京の大学(詳細不明)に進む。2012年から劇団ハーベストに参加、初代のリーダーを務めた。最近では2026年の佐藤大樹・本郷奏多主演の「時光代理人」、2024年の成田凌主演の「降り積もれ孤独な死よ」などの出演している、見てたけど分からない。
その母の篠原ゆりえを演じたのは櫻井淳子(あつこ)さん。73年1月生れで、埼玉県鶴ヶ島出身。地元の小中学校から川越商業高校(現在の市立川越高校)に進み、2年生の時に竹下通りでスカウトされる。女優デビューは高校卒業後の1991年。1998年から始まった「ショムニ」シリーズの魔性のOLを演じブレイク。以後バイプレーヤーとして多くのドラマや映画などに出演している。
生ピアノの演奏は榊原大さん。67年7月生れで、千葉市出身。東京芸術大学音楽学部附属音楽高校から東京藝術大学音楽学部器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にポップス・インストゥルメンタルバンド「G-クレフ」を結成し、1990年末のNHK紅白歌合戦にインストゥルメンタルのグループとして初めて出場する。
1995年のグループ解散後は、ソロ活動の他、アーティストのプロデュース&サポートや映像音楽などに携わっている。藝大での同輩の葉加瀬太郎のライブに出演したり、2005年度上半期のNHK連続テレビ小説「ファイト(本仮屋ユイカ主演)」の音楽を担当したりもした。
脚本・演出はG2さん。59年生れの劇作家、演出家。1987年、舞台演出デビュー。1991年からの升毅との劇団「MOTHER」の活動を経て、1995年より演劇ユニット「G2プロデュース」を主宰。2011年には大谷竹次郎奨励賞を受賞。ミュージカルの翻訳・訳詞も手掛けるなど多岐に渡る制作活動を行っており、自由な発想で毎回コンセプトの異なる作品創りで、常に話題を提供し続けている。私は初めて知った方でした。
お昼前の11時開演で、上述のように前半が1時間10分、30分の休みを挟んで、後半が約1時間。カーテンコ-ルモ含めての、あっという間の2時間45分でした。美月さん、成瀬の独特の雰囲気をよく出してました。涼子さんは、大作や主演の経験もあり、ほぼ主役でしたね。楽しく過ごせました。
以上