鉾久奈緒美「死者の書」 公演情報 大駱駝艦「鉾久奈緒美「死者の書」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    開演前、下手に置かれたガラス鉢に天井から一筋の水が滴り落ちている。ぴん、ぴん、ぴん、ぴん···。劇中、綺麗な水を探す物語だと老婆は語る。

    鉾久(むく)奈緒美さんが振鋳(振付)・演出・美術・鋳態(出演)。原作は折原信夫の『死者の書』。長身の鉾久奈緒美さんの肉体は手塚治虫のキャラクターのように美しい。鶴が沢山描かれた紅い着物で写経。今まで観てきた大駱駝艦の舞踏は男性作家の作品ばかりだったと思う。女性がやると全く違うもので美しさ、色気、気品がある。原作を理解した上でもう一度観たいと思った。(全く予備知識なく観たので『チベット死者の書』を勝手にイメージしていた)。

    滋賀津彦(しがつひこ)を演じた小田直哉氏は薄皮一枚隔てて筋肉一つ一つの動きが透けて見えるような圧倒的な肉体美。鍛え抜かれた人体模型。

    語り部の老婆が急に喋り出すことに驚いた。バレエのようにシーンごとの筋立てをあらかじめ提示してもいいと思う。

    左脚が骨になっている骸。男達が首を奪い、左胸に槍を突き刺す。神隠しにあった郎女(いらつめ)が首を拾い、もう一度付けようとする神話。

    この美しさは何だ?
    人をこの世を救うことの出来るものがあると仮定して、それを舞踏で表現しようとしている。とんでもないことだ。

    ネタバレBOX

    滋賀津彦(しがつひこ)=大津皇子(おおつのみこ)は飛鳥時代、天武天皇の第三皇子であったが686年、謀反の疑いで捕らえられ24歳で自害に追い込まれた。50年経ち、彼は目覚める。

    藤原南家の一の姫である郎女(いらつめ)。郎女=上流階級の女性の尊称。称讃浄土経の千部写経に明け暮れる。郎女の肉体から魂が脱け出て、魂を呼び戻す為に九人の杖人が魂乞いを行なう。その魂乞いにより、滋賀津彦が目覚める。尊い俤人(おもかげびと)に着せる衣を織り始める郎女。それは曼荼羅となる。

    郎女=中将姫(ちゅうじょうひめ)。奈良時代、中将姫の当麻(たいま)曼荼羅伝説。蓮の糸を使い、一晩で極楽浄土の曼荼羅を織り上げ、775年入滅。

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    2026/07/02 21:53

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