何処へ行くギルガメシュ 公演情報 パスプア「何処へ行くギルガメシュ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    札幌の住宅街にあるカタリナスタジオで上演。
    「移動」をテーマにし、世界最古の文学と言われる『ギルガメシュ叙事詩』の要素を取り入れているそう。「ギル(ギルガメシュ)」と名乗るひとりの女性(ともか)が家を出てからの様子と並行し、いくつもの要素が、多様な手法で表現されます。

    ネタバレBOX

    会話劇として結婚の許しを得るまで一歩も動かない男をめぐる物語や、咄家が桃太郎をベースにした語り、ラップバトル、リズム体操のような絡み合い、台詞による独白など、様々な表現がパッチワークのように細切れに展開されます。一つひとつの表現も勢いがあるので、刺激的なスピード感は心地よいほどです。
    それらを表現する俳優たちには圧倒されました。台詞の歯切れの良さや、動き続ける身体など、そのパフォーマンスを見ているだけでも興奮しました。

    対面舞台であることは、距離を認識し、空間全体としての平行感もあって面白かったです。シンプルかつビビッドな美術と照明はともに空間を変化させ、疾走感をうんでいました。一方で、客席からは向かい席に対して垂直感覚も強く、また作品の構成が短いシーンを組んでいくものだったのでそれと合わせると客席で受け取る情報量が多くてすこし雑多な印象にもなりました。かといって一面の方がいいかというとそうとも言い切れないので、くの字型やハの字型などだとどういう印象だったのかが気になります。

    「移動」をテーマにしているため、どのエピソードにも様々な「距離」が登場します。食卓を囲む家族や、上演地である札幌の地理などの身近なもの。そして、どこを目指すともわからないギルの旅路や、パレスチナやメキシコなどをイメージさせる要素、鬼が島と桃太郎といったファンタジー内での移動や、月を目指す疾走といった、私たちの今いる場所(札幌)から遠い場所まで。近くのものと、遠くのものは、上演の間中その距離を行き来します。
    様々な「移動」の感覚を投げかけられる心地よい刺激と同時に、今この時に現実で起きている問題・課題を、あと一歩で作品の材料にしかけている危うさも感じました。おそらく作品を通して「移動することが良いこと」「移動しないことが窮屈なこと」という価値づけが、明言されないまま生まれていた構成だったからではないでしょうか。
    もし「移動すること」と「移動しないこと」がもっとフラットであれば、または、明確に「移動は良いだ/悪いものだ」という評価や主張があれば、もっと力強く作品を受け止められたように思います。

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    2026/07/02 14:01

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