何処へ行くギルガメシュ 公演情報 パスプア「何処へ行くギルガメシュ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    この演劇が何の誰の話であったかを説明をしようとすると、途端に迷路に入り込んでしまう。しかし、この体感こそが本作のメッセージだったのかもしれない。慣れない北海道の街を「こっちじゃない」「あっちも違う」と時間をかけて移動しながら、私はそんな実感に辿り着きました。

    ネタバレBOX

    ギルガメシュという人物を主軸にいくつものモチーフやストーリーがコラージュされ、場所、時代、時空さえも「移動」しながら進む物語。地下鉄の路線のように入り組み、まるで行く手を阻むように現れる不条理に次ぐ不条理、ナンセンスオブナンセンス。配達の仕事をしているにも関わらず、客に料理を届けるのを渋るギルガメシュをはじめ、滅茶苦茶な昔話を展開する落語家、電柱相手に路上ラップバトルをする男など、次から次へとヘンテコな人物が現れます。しかしながら、それらが何らかの大きなものや流れに対する「抵抗」や「格闘」であることはそこはかとなく浮かび上がってきて…。そして、最終的にはギルガメシュが抱える家庭や社会からの抑圧や搾取、消費といった問題につながっていく。

    呆気に取られながらも、私は日に日に本作に「カウンターの物語」としての手触りを感じるようになりました。劇中で具体的な家庭問題が詳らかにされるわけでも、特定の社会問題が語られるわけでもありません。しかし、登場人物たちは確実に何かに異を唱えていた。それは、この混沌とした現代を生きる人々の姿そのものなのかもしれません。「何処にも行けない」と思っていた人が一歩を踏み出す話にも思えるし、そうしてやがて「何処へでも行ける」ということに気づくまでの話にも思える。そして、「何処へ行く」と問われているのはギルガメシュだけではない。おそらく、観客にも等しく向けられた言葉であるのだと感じました。

    一方で、やはり展開が混沌としすぎていて、咀嚼するまで時間がかかり、そういった実感に辿り着くまでにだいぶ苦労したというのも素直な感触でした。同時に、意味がわからなくても見入ってしまう、というのもまた俳優の身体性が導く演劇の魅力でもあるのだと思います。なかでも、身体の部位を執拗に口にしながら、ダンスに満たないダンス的動きが繰り返されるシーンは、心の在処をたしかめるようでもあり、奇妙ながらに何か切実なものを感じました。また、500円を前払いし、終演後に追加料金を決めて支払える「ワンコイン観劇プロジェクト」も興味深いものでした。

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    2026/06/25 01:22

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