レディエント・バーミン Radiant Vermin 公演情報 世田谷パブリックシアター「レディエント・バーミン Radiant Vermin」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    「AHー!LOVE BEAT!YEAH!」
    自分で自分の首を両手で絞める決めポーズ。

    U2 の「Vertigo」が格好良く流れ、作品のノリは『ナチュラル・ボーン・キラーズ』や『ハウス・ジャック・ビルト』を彷彿とさせる。(どちらも連続殺人鬼の主人公を痛快に描いた作品。『NBK』はタランティーノの脚本をオリバー・ストーンが台無しにしてしまった失敗作だが)。悪意に満ち溢れた作風はもろラース・フォン・トリアー流。好きな人にはたまらない。ニヤニヤする。

    20代後半の夫婦、オリー(井之脇海氏)とジル(清原果耶さん)。生活は苦しくボロい賃貸での暮らし、しかもジルは妊娠中。そんな時に舞い込む一通の手紙。政府の推進する国家プロジェクトに選出され、無償で一軒の家を差し上げますと。詐欺か悪戯か何が目的か?ジルが封筒の連絡先に電話を掛けると間違いないと言われ、やって来る担当者のミス・ディー(池津祥子さん)。悩みつつも契約し、現地に向かう。そこは荒廃したスラム、浮浪者の溜まり場の地区。広いが老朽化した屋敷、周囲は空き家だらけ。電気も通っていない、お湯も出ない屋敷を自分達の力で改修せねば。ぐったりしながら二階の寝室で寝ると、階下からの物音で起こされる。浮浪者が盗みに侵入して来やがった!

    清原果耶さんは2020年、『宇宙でいちばんあかるい屋根』を観に行った位の接点。いざ目の前で見ると圧倒的美人。鼻が高く山本恵里伽アナウンサーっぽいか。笑顔が満島ひかりに似てる気がした。美人過ぎて役柄が限定される懸念。

    井之脇海氏も魅力的。アスリート並みの運動量。親近感を湧かせるキャラ。

    何と言っても池津祥子さんが凄腕。『黒イせぇるすまん』風味。この世界を力尽くで納得させ成立させる。

    とにかく客を弄る。通路後方から現れ客一人ひとりに語り掛ける。客席の間にまで入る。とにかく観客を巻き込む。これはオハナシではなく貴方の選択すべき現実です。さあどちらを選びますか?お考え下さい。

    終演後、客席後方で演出の白井晃氏、手応えがあったのだろう、してやったりの満面の笑み。コンプライアンスに蹂躙されたこの世界に中指を突き立てる。嘘ばかりの世の中で本当のことを叫んでやる!
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    浮浪者ケイのエピソード、池津祥子さんの二役。後になって気付いた程、全く違って見えた。

    今作、嫌いな人は大嫌いだと思う。非常に危ういネタ。クライマックス、息子ベンジャミン一歳のバースデイを祝って催す盛大なガーデンパーティー。招待した四軒の隣人家族達との遣り取りを清原果耶さん、井之脇海氏二人で精密に再現。狂ったようなアップテンポで躁状態の狂乱を語り尽くす。
    「AHー!LOVE BEAT!YEAH!」
    自分で自分の首を両手で絞める決めポーズ。
    何度も何度も繰り返される遣り取りに段々観客はラリってく。ビデオドラッグにヤラれてく感覚。メチャクチャな荒波に呑まれては流され吹っ飛んでは沈み飛ばされた意識は途切れ途切れてブラックアウト、ふと気付けば何がなにやら朦朧と。

    タイトルの意味は『光輝く社会の汚物』。優生思想への諧謔風味。物語のその先はホロコーストへ突き進むと予感させる。ふと阪本順治の『鉄拳』なんか思い出した。

    日本なら闇バイトの見知らぬ老人を襲う強盗殺人事件に一番ニュアンスが近いだろう。幸せになる為に要らない連中を始末するだけ。浮浪者、障害者、老人、外国人労働者、イスラム教徒、左翼活動家···。汚く醜く迷惑で弱い連中を掃除してやることはきっと良いことなんだろう。綺麗でカッコイイ連中しかいないイカした世の中にしよう。それこそが理想の社会。トランプやネタニヤフ、プーチンに習近平、みんな理想の社会を目指して殺戮している。
    「AHー!LOVE BEAT!YEAH!」
    自分で自分の首を両手で絞める決めポーズ。

    人間を止めるものは痛みと恐怖と不安だけ。それを感じられないと何処までも行ってしまう。そして今、一体ここは何処なんだ?

    BLANKEY JET CITY 「悪いひとたち」

    荒んだ心を持ったHoney ヨーロッパ調の家具をねだる
    SEXに明け暮れて麻薬もやりたい放題
    ツケが回ってくるぜ でもやめられる訳なんてないさ
    そんなに長生きなんかしたくないんだってさ
    それを聞いたインタビュアーが「カッコイイ!」って言いやがった

    ※この『それを聞いたインタビュアーが「カッコイイ!」って言いやがった』って歌詞に当時グラングランやられた。

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    2026/06/12 14:04

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