公演情報
劇団前進座「お久文七恋元結」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★
一両を現在の5万円と考えると、五十両は250万円。こんな額をぽんと見知らぬ男に渡す奴は何者か?
2017年、山田洋次監督が監修・脚本で前進座に参加した『裏長屋騒動記』。2021年、『一万石の恋/裏長屋騒動記 愛の仮名手本篇』。そして今回、三度目のタッグ結成。前進座95周年、山田洋次監督94歳!凄えな。昨年の新作映画『TOKYOタクシー』も良い出来だった。『裏長屋騒動記』が驚く程面白かった為、メチャクチャ期待。
『文七元結(ぶんしち・もっとい)』とは明治時代の落語家・三遊亭圓朝(えんちょう)の創作落語。第一幕はそれをやり、第二幕は山田洋次オリジナルとなる。
江戸時代、年の暮れ、日本橋横山町の鼈甲問屋「近江屋」。主人の卯兵衛(藤川矢之輔氏)、番頭の善六(曽我廼家寛太郎氏)、手代の文七(早瀬栄之丞氏)、女中のお清(松宮美菜さん)。文七を買っている主人は売掛金の集金を任せることに。五十両という大金を受け取りに行く大役。
本所達磨横町の貧乏長屋に暮らす左官の長兵衛(柳生啓介氏)、女房のお兼(河原崎國太郎氏)、娘のお久(ひさ)〈横山由依さん〉。長兵衛は腕の良い職人だが博打にのめり込み年を越す金もない。17歳のお久は吉原の「佐野槌(さのづち)」に自ら向かい身売りして金を工面しようと考える。
貧乏長屋の家主・吾助(嵐芳三郎氏)、長屋女房お茂(江林智施さん)、長屋女房お熊(松川悠子さん)。
屋台の二八蕎麦屋(松涛〈まつなみ〉喜八郎氏)、その客(嵐市太郎氏)。
薬種問屋(どいや)の「美濃屋」女主人お福(山崎辰三郎氏)、その息子孝之介(松永瑤氏)。(松永瑤氏は早瀬栄之丞氏にどんとぶつかる通行人役も兼ねる)。
元結(もっとい=もとゆい)とは髷の根元を縛る紙製の細紐。桜井文七が飯田藩(長野県)から持ち込んだ商品の評判がよく、「文七元結」として広まった。
曾我廼家(そがのや)寛太郎氏の人気振り。松竹新喜劇で活躍するこの人の口上が舞台の基調となる。松宮美菜さんが可愛かった。
MVPはやっぱり柳生啓介氏。山田洋次節。
誰一人悪党のいない優しい世界、弱い者達は弱い者達と助け合った。誰かの優しさに生かされている。人の憂いを知った者だけが優しくなれる。
是非観に行って頂きたい。