永野宗典不条理劇場「虚業」 公演情報 ヨーロッパ企画「永野宗典不条理劇場「虚業」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    もう、なんて言うか、アレである
    やはり予想どおりの、神保町花月で観た『ムネリンピック』を彷彿とさせる展開と内容。「虚業」という演劇はわずか10分ほどで終了する。そして、その後に続くのは、悪夢のようなうねうねした世界。
    それは、不条理という御旗を掲げての上演。

    ネタバレBOX

    『ムネリンピック』では、「虚」の旗印の下、公演が行われており、まさに「虚」の世界だった。今回も、その「虚」で、「虚業」なのである。
    永野宗典さんの頭の中が、もう丸見えというか、そんな感じなのだ。

    虚業=演劇で、自らの演劇に鋭く切り込む、というわけではないが、「破壊=ゼロからの出発」「死=破壊」の願望は今回も存在していた。
    世の中は破壊させて無からまた始まるし、永野さんも死んで、またお茶の間シーンから始まる。サイクルというより、破壊と再生。

    結局のところ、どこまでも「演劇」と心中するつもりであり、それにはどこか「やましさ」や「うしろめたさ」「恥ずかしさ」のような感情もない混ぜになっているのだろうか。そんな印象を強く受ける。

    永野宗典という人を、自ら丸裸にしてしまったような舞台。メタがさらに入れ子になっていたりするのは、「役者」でいる(あるいは、ある)自分をどこか冷めた目で、他人のように見ていくという行為でもある。そして、それはどこか、恥ずかしさかからきているのかもしれない。

    「つくりごと」の世界から自らを解き放とうとしながらも、結局は、その中にいることを自覚的に演じていて、答えがないのかもしれないし、あっても見ないフリをしているのかもしれない。
    孫悟空がお釈迦様の手の中にいる、というのに近いイメージだ。お釈迦様が自分だったりするわけなのだが。

    迷いの中にいて、もがいているのが「不条理」だと感じているのだろう。

    次回もこんな展開で、こんなテーマになると思うのだが、20年後も「永野宗典不条理劇場」は続いているらしいので、まだまだ観ていきたい。そして、もがき続けてほしいと願う。

    永野さんの普通笑いはうまいし、加藤啓さんがもの凄くいい、そして池浦さだ夢さんのキャラも捨てがたい。

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    2011/01/31 05:21

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