声が走る。浪曲が走る。 公演情報 日本浪曲協会「声が走る。浪曲が走る。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2026/05/26 (火) 13:00

     今回横浜にぎわい座と言う演芸場で、『声が走る。浪曲が走る。』と言う女流浪曲師6名、曲師6名による比較的若手の女流浪曲師中心の掛け声コーナーあり、浪曲あり、浪曲の歴史や豆知識について、アメリカのスクールドタバタコメディのようなコント形式で伝えたりと、創意工夫が感じられ、観ていて全然見飽きなかった。
     
     浪曲は今まで、伝統芸能の野外のイベントで複数回観たことはあるものの、屋内の劇場で観たことは無かったので、最初、正直、浪曲師の唸りを静かにじっくり聴くという感じで、一元様お断りな空気もあるんじゃないか、似たような節回しを聴いているうち、退屈で眠くなってくるのではないか等の不安があったが、実際に観聴きしたら、そんなことは一切なく、良いタイミングで、声援を観客が出すこともでき、リラックスして、時に大いに笑いながら楽しめた。
     周りの客層は高齢者が多かったが、一元様お断りといった感じはなく、伸び伸びとして、自由な感じで、ノリが良い感じで、温かい気持ちになれた。
     浪曲の内容も比較的頭に入ってきやすいものが多く、落語のように伸びやかに難しく考えず、楽しめた。
     古典も新作もあったが、飲酒を断った筈の母里太兵衛が福島正則の酒の誘いを断り切れず…というようないつの時代でも頭を悩ます問題等、現代の感覚でも全然共感できる内容のものが多く、物語に入り込みやすかった。
     新作の『ルミの場合』では、人生に絶望した若い女性の前に悪魔が現れ、「寿命をいただく代わりにお望みの人生にしたまします」と営業を持ちかけられるが、絶望しているからどう生きたいかなんて分からない。悪魔が去った後、捨てられたギターを持ち帰って弾き始めたところから人生が少しずつ変わっていくという内容で、最近の小劇場演劇やアニメで取り扱いがちな紆余曲折を経ながら主人公が成長していく自分探し作品で、しかも、その新作浪曲の途中の場面で、悪魔の誘いに乗らないと決心したりと、最初自暴自棄になって死にたがっていた主人公の目に見えるような成長ぶりに驚き、最後のほうの場面で、まだやり残した感じもありながら、幸せな感じで終わっていくのに、感動した。
     自殺する若者が多発し、精神を病む人も多発し、引き籠もりになって、家を出れなくなる人も多くいる、そんな生き辛い世の中だからこそ、必要な作品だと、強く感じた。
     最後の玉川奈々福さんによる浪曲「仙台の鬼夫婦」の実は道楽夫を思えばこそ、鬼となり、厳しく当たる妻のお貞との情愛溢れる感じが、落語「芝浜」と内容は違うけれども、似たような接点を感じ、違うジャンルであっても、似かよる部分ってあるものなんだなぁと感心してしまった。
     また、鬼の如く容赦無く恐妻と化すお貞を演じる際の玉川さんの顔芸と怯える駄目夫の表情に大きく変化をつけ、夫婦漫才に匹敵する程、丁々発止のやり取り、ドタバタコメディで大いに笑え、表情を見ているだけで、楽しめた。
     それにしても、浪曲師も数多くいるとは思うが、ここまで、落語並みの表情の豊かさとこ気味の良いテンポで話を進める浪曲師はそうそういないのではないかと感じた。

     今回の催しを通じて浪曲が、和製ミュージカルと言われる所以が分かった気がした。登場人物たち同士の台詞と謡いとが不自然に聞こえない程自然に連動していて、なる程と思ってしまった。
     浪曲自体は、明治から始まった芸能というのも初耳で、良い勉強になった。

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    2026/05/27 16:52

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