公演情報
こまつ座「花よりタンゴ」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★
朝海ひかるさんの名前だけでチケットを買ったのでこんなに豪華なキャスティングだとは知らず観ていて驚いた。流石こまつ座、今回のキャスティングにはちゃんと色々な舞台をチェックして選んだセンスの良さを感じる。
戦後まもなくの銀座ラッキーダンスホール、経営する33歳の長女に朝海ひかるさん。宝塚トップスターの気品、歌ダンス佇まい全てに秀でたオーラ。後半のチャイナドレス姿はスタイルの美しさが際立つ。
終戦しても米軍の特殊任務に取られ、帰って来ない夫を待ち続ける次女の南沢奈央さん。以前のボーイッシュな雰囲気と打って変わって彼女とは気が付かなかった。
歌手を夢見、レコード会社のオーディションを受けまくっている大原櫻子さん。男爵だった亡父の妾腹だが三女として家族同様に暮らしている。この大原櫻子さんの歌がある意味主人公。昭和歌謡との相性が良いのだろう、会場中を歌で魅了した。ファンクラブ限定の「祝!30歳!チーム39開襟シャツ!」を着用した人も多く変わらぬ人気。
受験生向けの月刊誌「螢雪時代」を愛読している秀才の末娘、平体まひろさん。ステージ中を走りまくるエネルギー。
男爵家の元運転手で戦後、闇成金で財を成した高橋克実氏。グラサンを掛けてると千葉哲也氏みたいでいかつい。ノリノリの役者馬鹿系で好感を持たれ観客を味方につけるタイプ。
ピアノの伴奏を務める朴勝哲(パク・スンチョル)氏。
ダンスホールに闇煙草を卸す枝元萌さん。MVP。
郵便配達人、尾上寛之氏。
特筆すべきは空襲で声を失った花売りの大田真喜乃さん!どこかで観たなとずっと思い巡らしていたが新国立劇場演劇研修所第19期生を2月に修了したばかりの彼女だった。5月にこまつ座のサザンシアターで朝海ひかるさんとタンゴを踊るとは···。才能ある若手をどんどん抜擢して夢のある世界を築いて欲しい。
枝元萌さんこそが井上ひさし作品の魂の気がする。市井に生きる名もなき庶民の体現。カッコイイ奴、綺麗な女等はいつの時代でも何とかなるが泥臭い一般庶民を自然に象徴出来るのは稀有。下手な奴に演じさせると嘘臭くて観てられない。こういう役柄を作為的だと感じさせると作品全体にダメージが及ぶ。そこが配役の難しいところ。枝元萌さんは『赤ひげ』に出ていても何の違和感もなかっただろう。こんな女優、日本の宝だと思う。
是非観に行って頂きたい。