公演情報
劇団た組「どうも不安な様子」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★
上手奥、キィィィィィッと鳴るドアを開けて次々と人がステージに入って来る。全身ビニールに包まれて圧縮袋に潰されたような顔、宇宙人のような妙な動き。夏帆さんが現れて紙相撲をするようにステージを両手でトントン叩く。その振動で小刻みに動く面々。
滅茶苦茶面白い。久し振りに爽快な帰り道。台湾人にもガッチリ受けただろう。Jホラーのような語り口も巧い。凄く古典的なテーマのように思えるが実は人間の知性、意識にとって根源的に存在し続ける永遠の課題なのかも知れない。フィリップ・K・ディックが生涯取り憑かれた世界。遙か未来にもおんなじようなことを人間はぐだぐだ考えていそう。
ゲーム会社のプログラマー、金子岳憲氏は新作VR(仮想現実)ゲームの舞台として台湾を設定。子供の頃、親の仕事の都合で台湾で暮らしていた妻、夏帆さんにゲーム内で使用する小道具などのアイディアをお願いする。色々と卒業アルバムやら当時の持ち物やらを探してみる夏帆さん。その中に石のようになった果実が密閉された小さな瓶を見付ける。それが何なのか全く記憶にない。突然、林家麒(ガキ・リン・ジアチー)氏が来訪。彼は夏帆さんの台湾時代の同級生、今は日本で金子岳憲氏と同じゲーム会社でプログラマーを勤めている。混乱し怯え切った彼は一晩泊めてくれと頼む。誰かを殺した妄想に取り憑かれて逃げ回っているのだと。本当は誰も殺してなんかいない。それでもずっとこの強迫観念に追い立てられている。妄想の殺人の捜査の手に怯え切っていた。
台湾華語=中国語。台湾の公用語は北京語ベースの中国語。背面、字幕にて全ての台詞が投映される。全員がバイリンガルであろうといった設定で日本語と台湾華語が普通に会話として成立していく。タイミングもばっちりで面白い。
監修の許哲彬(トラ・シュー・ジャービン)氏の劇団、「四把椅子劇團(スーバー・イーズ・ジュゥトゥアン)」=「フォー・チェアーズ・シアター・カンパニー」が全面協力。
舞台監督の許正蕾(シュー・チョンレイ)氏が凄いのか?
映像オペレーターの傳安(フー・アン)氏が凄腕なのか?
手を画面に突っ込んで物を出したり、VR空間に飛び込んだりのタイミングが完璧。ここが今作の肝だとも言える。ファミコンのようなレトロなVRキャラも魅力的。
主人公・夏帆さんが非常に魅力的。長澤まさみのように光輝いていた。
是非観に行って頂きたい作品だが、もうチケットは取り辛いだろう。このネタは再演、もしくは深化させて別の形で上演される筈。