TRANS 公演情報 サードステージ「TRANS」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    元andymori、小山田壮平の曲 、「君の愛する歌」が繰り返し流される。

    風間俊介氏は安定した技術に裏打ちされた安心感。流石の人気。
    岡本玲さんは『みんな鳥になって』以来。貫禄。
    伊礼彼方氏は初めて観たが凄腕。羽賀研二っぽいマッチョなハンサムで場数をこなして来た故の自信溢れる実力派。何でも出来る器用な人。ファンがつく訳だ。

    ネタバレBOX

    30代の精神科医の岡本玲さんのもとに患者として風間俊介氏が訪れる。二人は高校時代、友人だった。フリーライターをしている風間俊介氏は時折意識を失い、別の人格になっているらしいのだがその記憶はない。別人格のもう一人の自分への不安と興味。

    オカマバーでボッタクリに遭う風間俊介氏、彼を助けてくれたのはその店のオカマの伊礼彼方氏。二人は高校時代、友人だった。久方振りの再会に喜びと戸惑い。

    三人は高校時代、いつも校舎の屋上で空を見上げていた。他の連中とははぐれていた。卒業となって三人で約束する。これで皆お別れだけど、もしこの中の誰かがここから飛び降りたい程追い詰められたらどんな状況であっても三人でまた逢おう、助け合おうと。

    風間俊介氏の別人格が自称南朝天皇の流れから自分的にはあんまり好きじゃない。もっと暗い設定の方が好み。

    明治時代の誇大妄想狂・蘆原金次郎は将軍や天皇を自称し精神病院に入院、マスコミによって特殊な人気者に祭り上げられた。筒井康隆が『将軍が目醒めた時』という小説に。
    今作の直接のモデルであろう熊沢寛道は戦後、GHQに自分こそが正統な南朝天皇であると請願書を送る。マスコミも面白がって熊沢天皇と呼ばれ特殊な人気者に。

    作家になりたかった風間俊介氏は書きたいものが見付からず、依頼主の求める通りをなぞる売文業をやっている。本当の自分への憧れ。いつかそれを知れば本当の人生が送れる筈だと。

    カルト宗教に嵌まって大学を辞め、人生を費やした岡本玲さんは自分を殺そうとする悪魔の正体が母親だと知る。大学に入り直して精神科医となるも、妻子持ちの医師を愛し不倫関係の挙句、妊娠。どん詰まり。

    作家になりたかった伊礼彼方氏は自分探しの末に同性愛者に辿り着く。愛されたかったのか愛したかったのか。他人と絶対に崩れない信頼関係を求めては失うことの繰り返し。そんなものは何処にもないのか?

    今作を観た自分の勝手な解釈。
    これは鴻上尚史氏から舞台を観に熱心に集う観客達への心からのラブレターである。何処かしら病んだ貴方達が僕を必要としてくれるから、僕は手を変え品を変え作品を創り続けることが出来る。この関係に終わりはない。もしかしたら病んでいるのは僕の方で貴方達からカウンセリングを受けているのかも知れない。それでも構わない。僕がずっと傍にいて君を守る。僕と君が入れ替わったとしてもそれは同じことだ。

    ブルーハーツ 「夕暮れ」

    何年経ってもいい 遠く離れてもいい
    独りぼっちじゃないぜ ウィンクするぜ

    ※ここから関係ない話。
    当日パンフである「ごあいさつ」に今作への覚え書きが記されている。鴻上尚史氏は小学生時代の初恋の女の子と大学生になって東京で再会する。全てにおいて誰よりも優れていた聡明なあの娘は統一教会に入り苦しんでいた。彼女程の知性の持ち主がこんなカルトに嵌まるのか?いろいろと相談に乗りたかったが当時鴻上氏も忙しく恋人もいた。時は経ち、ある日彼女から手紙が届く。彼女が脱会出来たこと。ふと貴方のアパートに行ってみたけど貴方は留守だったこと。もしその時、自分が居たとしたらどうなっていたのだろう?

    ブルーハーツの「夕暮れ」を久し振りに聴いたが良い歌だな。結成当時、ブルーハーツのマネージャーだった河口純之助、ベースのメンバーが固定せず仕方なくベースを弾くことに。以前組んでいたバンドではギターだったのでベーシストとしては素人同然。下手糞な演奏技術だったが余りの楽曲の良さであれよあれよと言う間にメジャー・デビュー、すぐに武道館、全国的な人気。ヒロトの説得力のある心のこもった声とマーシーの論理的な詞が全国のガキ共にメチャクチャ突き刺さった。青少年の精神的悩みを解決する救世主のようなカリスマ性。沢山の悩み相談が全国から山のように寄せられた。詞を書いていたのはほぼヒロトとマーシーだったが河ちゃんにも沢山手紙が来る。根が真面目な河ちゃんはその一つ一つを真剣に受け止め、どうすればいいのかとことん考えた。どうすれば皆の苦しみを救えるのか?そんな時、ある一冊の本に出逢い、衝撃を受ける。大川隆法著『太陽の法』。この本に全ての答は書かれていた。全ての悩み苦しみへの解答がここにある。幸福の科学に入信。ライヴ後に悩めるファンを集めて勧誘する。ヒロトは激怒する。「こんなことやめてくれ!」と。河ちゃんの本気とヒロトの本気。皆本気だったからバンドは成立しなくなった。ラスト・アルバムとなった『DUG OUT』に「夕暮れ」は収録されている。ヒロトから宗教的な論理へのアンサー・ソングだろう。
    その後にブルーハーツ名義で『PAN』というアルバムが作られるがレコード会社との契約の為、無理矢理作ったもの。4人がそれぞれソロで楽曲を制作録音、バンドの作品ではない。
    ブルーハーツのファンクラブ「ブルーハーツ集団」の会長であった亀岡寿江はオウム真理教に入信し雑誌の取材にも答えた。「ドブネズミみたいに美しくなりたい」という歌詞を真剣に受け止め、全ての生命は平等であると思い至る。ゴキブリですら殺そうとしないオウム真理教の思想に本物を感じて入信。真実の仏教を実践する為に。
    無論、自分も「ブルーハーツ集団」に入っていた時がある。幸福の科学もオウム真理教も一通り目を通したが全然魅力的じゃなかった。何か違う。ただの支配システムじゃないか。人間が望むのは己の自由だけでいい。そこには何も嘘がない。

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    2026/05/06 20:24

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