シラノ・ド・ベルジュラック 公演情報 メジャーリーグ「シラノ・ド・ベルジュラック」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    バランスの悪さが、どうにもこうにも。
    とにかく、僕にとってはバランスの悪い作品だった。
    きっと、この作品の製作者や、演出者の意図と、
    全く持って相性が悪いんでしょう。
    ある意味、個性のある作品とも思われるので、
    好みが別れるのでしょうが、僕は好きではありませんでした。

    「長々ベタベタとやりません!」、
    のふれこみで、
    「おっこれは、きっちり1時間30分、90分一本勝負で来るか」っと思いきや、
    休憩まであり約3時間。3時間って十分長々じゃないか。
    ここで、すでに作品と大きな距離と抵抗を持ちました。
    同じ題材の作品でも、
    島田正吾は、ひとり芝居で90分で仕上げていたのに・・・。
    それに青山円形は素敵な劇場ですが、ここも所詮はパイプ椅子。
    足も自由に組めないような狭い席間に、窮屈で固い椅子は、
    2時間が限界で・・・ストレスが溜まってくるんです。
    何より、90分程度で充分まとまる話を、広げている感が。
    どんなに素晴らしいレストランの料理でも、
    運ばれてくるタイミングが遅かったり、
    店の雰囲気と料理の内容が合わなかったり、
    素材と調理方法が違う、と感じたら、その店の印象が
    良くならないのと、僕にとっては評価基準は同じ。
    劇場のスペックとか、宣伝、上演時間も含め作品以外の要因って、
    その作品の印象を左右する、とっても大きな要因の一つなんです。

    あと、右近のべらんめぇ口調、これは個性というか味とは思います。
    でも、その様子を言うならば、
    ベタベタな感じって形容が一番合うと思うんだけど、
    ベタベタしてませんって謳い文句をされてたら、
    センスが違うんだなぁと感じざるを得ません。

    「痛快無比」
    胸がすっとするように愉快になると自負している、この作品。
    右近が「見得」のような台詞を切るシーンが数回あるんだけど、
    こんな小さな劇場なのに大芝居で、暑苦しいこと、この上なし。
    身近で、そんな芝居を見られて幸せな方もいらっしゃると思いますが、
    僕のセンスとは合わず、胸やけ・・・。
    それどころか、ラストなんか、すっごい後味の悪さが残っているんだけど。

    「抱腹絶倒」
    自画自賛も、ここまでくれば立派です。
    どのシーンをもって、腹抱えて笑えって言うんだろう?
    笑わそうとしているシーンは、1幕を中心に何回か理解しました。
    僕は笑わないけど、あれ笑ったとしても「クスっ」って笑いの技で、
    腹抱えて手を叩いて「あっはっはははは」って笑いではありません。
    きっと制作陣だけが、抱腹絶倒しているんでしょう。
    内輪ネタとか手前ミソなギャグが満載だったのかもしれませんね。
    時々、役者が御互いの顔見て噴出しそうな顔したり、
    したり顔して笑ったりして(特に2幕)、その様子で笑っている
    (喜んでいる)観客もいました。
    そういうシチュエーションを狙った演出かもしれませんが、
    僕は、そういうハプニングというか、
    ミスを見て喜ぶようなことはなく(むしろ不愉快)、
    ましてやロクサーヌのような古典劇でで、そういう事するか?って。

    「感涙絶句」
    基本的に、男前な安寿ミラが、ロクサーヌなんてロマンティックな
    役柄に配役されている時点で、感情移入が非常に困難。
    「かよわさ」が感じられれば、「しおらしい」雰囲気になる台詞も、
    「たくましさ」を感じられる女優が、そのような台詞を話せば、
    「傲慢」で「嫌味」で「勘違い」としか受け止められなくなる。
    彼女は一生懸命、真面目に演じているとは思うけど、
    自分の持つ個性というかキャラクターを活かした役柄とは思えない。
    とにかく個性の強いアクの強い役者ばかりが集まった芝居で、
    感涙で絶句というより、油っぽくってゲップって感じでした。

    と、制作陣が売り文句にしている内容と、
    僕のセンスが全くかみ合わなかったので、非常に苦痛な3時間でした。
    昔ながらの活動演劇的な切り口で上演したかったのかも
    しれませんが、摩天楼の真ん中にある最先端技術の劇場では、
    その世界に入りきれませんでいた。
    このメンツなら、やっぱり隣の青山劇場辺りで、
    思いっきり派手に豪華に、ケレンミたっぷりにフライングでもしながら、
    スモークや爆裂をふんだんに使った作品のようが、
    良かったのでは、ないでしょうか。


    ネタバレBOX

    劇場に入った瞬間に、囲まれた歌舞伎調な垂れ幕にも、げんなり。
    とってくっつけたような鳴り物とか、正直中途半端。
    セットも何もない空間でライティングだけで、
    場面の雰囲気を作る手法は好きですし、成功していたと思います。
    まぁ特に新鮮味のある演出って訳でもないんだけど。
    渋い部分や、優雅な部分もあるんだから、
    ごちゃごちゃ、「融合」と言う名の下に「何でもあり」みたいな、
    フォアグラ、トリュフl、ツバメの巣をのせたチラシ寿司みたいな
    事をせず、シンプルに余計なことせずに、
    直球勝負で演出してほしかった。

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    2007/09/05 12:43

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