揺れる 公演情報 東京演劇アンサンブル「揺れる」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    開場時からベッドの上で死んだように眠る雨宮大夢氏。だが実は全く眠れないようだ。背面に投影される時事ニュース。世界中で終末へのカウントダウンが始まっている。会場案内の彦坂紗里奈さんがステージ奥でプロンプター?

    BJCの『冬のセーター』のような世界。

    モデルガンを握り締めて···僕は自分の頭を撃った···
    そのままベッドに倒れこみ、死んだ振りをして遊んだ···
    今年の冬はとても寒くて長いから
    お婆さんが編んでくれたセーターを着なくちゃ
    今年の冬はとても寒くて長いから
    お婆さんが編んでくれたセーターを着なくちゃ

    A、B、Cのパートが同時進行で語られる。

    A 兵士(雨宮大夢氏)に息子を銃で撃ち殺された母親(原口久美子さん)が彼のもとにやって来る。手を差し出して握る。戸惑う兵士。踊る。彼の心を開こうとしているようだ。

    B 「アルロの端の男」。
    18世紀の詩人、ウィリアム・ブレイクは幻視を体験し預言的神話(過去から未来までのこの世界の物語)を記した。アルロとは冥界のような場所らしい。巨人ユリズンは理性の象徴だが今作では資本主義を極限まで追求させる扇動者、欲望の果てを目指している。その弟とされる巨人、「見捨てられた男」は反対側の端で金属として固まって動かない。
    洪美玉さん、浅井純彦氏、奈須弘子さん、永濱渉氏が語り部。
    (※『四人のゾア』では「最後の審判」を起こしたロス〈想像力の象徴〉はユリズンを解体。ユリズンは自らの過ちを認め人間の支配を諦める)。

    C ベルリンの人々。バルコニーから外を眺めている。
    「母の子供たち」とされているが、殺された子供が彼等の中の誰かでも同じことなのだろう。無作為に選んだ一人。
    篠原祐哉氏、戸澤萌生さん、篠澤寿樹氏、山角愼之介氏、永野愛理さん、福井奏美さん、細谷巧氏、菊地柾宏氏、竹内茉由架さん。
    「アルロの端の男」の笑い声が天空から轟音として鳴り響いている。何の音だか解らないが人々は皆怯えている。インターネットが普及したベルリンではもう誰も外に出ようとはしない。世界中を身近にした筈のSNSが逆にリアルを遠ざけていく。全てはスマホの画面の中の並列された情報に過ぎない。
    (※パンフを読むと作家がこの戯曲を書くきっかけになったのは2015年、シリアやアフガニスタンからドイツに難民が押し寄せてくる。自分の家の前にも沢山の異文化異教徒異国の若者が立っている現実。移民問題が根っこにある)。

    ネタバレBOX

    どうにか轟音を止めようとメラーさんという一人のおばさんが通りに出て行く。沢山のケーブルを抱えたメラーさんは路上でばたりと倒れる。(インターネットのシステムを破壊しようとしたのか?)。それから随分と時間が経つが誰も助けようとはしない。もう死んだのだろうか?嫌な臭い。それを猫達が齧る。到頭戸澤萌生さんが外に出てそこまで行き、死体を回収する。
    「アルロの端の男」はその行為に激怒して街に地震が起きる。更に軍隊を繰り出して殺戮が始まる。(ここで人々を肌の色が違い言語が通じない者達として分けた方が理解し易い。互いが互いを不信と不安とに焦燥)。
    殺されたのはバッハマンさんの息子。耳が聴こえなかった。兵士の制止が判らなかった。兵士に近付き過ぎた。銃声。母親は兵士に近付いて行く。この世界を殺さない為に。
    目を覚ました「見捨てられた男」は「アルロの端の男」を抱きしめキスをする。もう二人は何でこんなに揉めてしまっていたのか訳が分からない。俺達あんなに仲良かったじゃないか。

    ずっとVR(仮想現実)空間でゲームに興じる男、篠原祐哉氏。現実逃避の象徴のように見えるが実は彼こそがゲーム感覚で世界を救えるのかも知れない。世界なんてクリアするべきゲームにしか過ぎない。何てことはない、やっちまえ。

    やりたいことは解るが如何せんこれだけでは観てる方はつまらない。戦争や憎悪の連鎖を止めるにはファンタジーの力しかなかったのだろう。『ナウシカ』のような神話の力。だがその一番重要な点をおざなりにしている。息子を殺された母親が殺した兵士を許し和解し共に生きてゆこうと思う心情。そこがポエムでは観客はのれない。どうしても許さなくてはいけなかった。憎んで復讐を望む「連鎖」ではこの世界の構造を打ち壊せなかった。この世界の構造を変えたい。そうでなくては人間の歴史は同じ事の繰り返しのまま。母親の見据えるヴィジョンを観客に訴え、眼前に見せないと意味がない。

    敵対する者を憎悪するのではなく許そう、共に生きようと願う寓話。息子を殺された母親が殺した兵士を許す話ではなく、例えば性被害にあった女性が加害者を許す話だったらどうだろうか?被害者が「私は貴方を許容します」と手を差し延べる。罪の意識に苛まれていた加害者はほっとするだろうがそれは果たして正しい選択なのか?罪を罰することこそが人間世界の安心を生むのでは?歪んだ世の中を是正する信じるに足るルールが厳然とあること。罰せられない罪こそ行き場を失くして更なる苦の連鎖を生じる。憎悪ではなく共に生きることの表現は難しい。人を厳しく罰することも形を変えた一つの愛だ。表面上の形、目に見えるものだけに惑わされて根源をおざなりにしている。許すという行為はそんな単純なものではないからこそ世界はここまでこじれている。「はい、今日までの恨みは全部なかったことにして明日から皆仲良く手を取り合って生きていきましょう。」ふざけんな!と皆怒り狂うだろう。

    尾崎豊 『自由への扉』

    裏切られても信じることから
    奪われても与えることから
    寂しくても分け合うことから
    悲しくても微笑むことから
    君なしじゃ僕のままでいられやしない
    誰もが皆自由に生きてゆくことを許し合えればいいのさ

    ※全く今作とは関係ないが。
    リベラル(自由主義的)=日本では左翼の意味。何故、高市早苗率いる自民党が圧倒的支持を集め、リベラル陣営がそっぽを向かれたのか?
    ハッキリ言って、リベラル陣営のオウンゴール。自殺点で自滅しただけ。散々綺麗事だらけのうんざりな言動に付き合わされ、日々の生活、現実は悪くなるばかり。紙の上で生きている訳じゃないんだ。こんな連中にはもう関わっちゃいられないと大衆に心底思わせた。こいつらだったら高市早苗の方がまだマシだと。高市自民が素晴らしいのではなく、揚げ足取りの野党根性、口先だけで何もないヴィジョンに呆れ果てただけ。何もアイディアも実行力もない癖に選挙にだけは勝ちたがる商売野党。アメリカではこんな連中よりもトランプの方がマシだとなった。日本もそうなっていく。無能なリベラルが国を滅ぼしている。お前等が戦争への道に大衆を導いていることに気付け。高市自民の批判ではなく、もっと圧倒的な価値観を提示しろ。選挙の勝ち負けではなくもっと普遍的な。

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    2026/03/11 23:36

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