公演情報
Pカンパニー「シン犯人」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2026/02/28 (土) 19:00
座席1階
Pカンパニーの秀作が揃う「罪と罰シリーズ」。今作は「ふざけた社会派」で知られるチャリTの楢原拓を招いた。パンフレットによると、楢原に「すごくふざけたのとちょっとふざけたのとどちらがいいか」と問われたPカンパニー代表の林次樹は「ちょっとの方」と答えたとか。これがどっこい!本格的なキレキレの社会派劇だった。チャリTテイストとは若干離れているとは思ったが、こんな舞台を見たかった。社会派好きにはいつもに増して、見ないと損すると叫びたい。
和歌山毒カレー事件にヒントを得た物語。町内会の運動会に準備された大福を食べた子どもを含む2人が死亡した事件で、前日に仕込みをしていた主婦が大福に除草剤を混入させたとして逮捕、起訴される。犯行の経緯、動機などすべて警察が描いたストーリーが裁判でも認められて死刑判決がくだる。容疑者の主婦は脅迫まがいの取り調べにもめげずに捜査段階から裁判でも否認を貫いていたのに。
舞台では、冤罪がどのように作られるのか、取り調べの過酷さ、再審請求のハードルの高さなどが正確に分かりやすく描かれる。特に、確定判決を覆えすような事態が起き、その際に警察が取り調べの録音録画を操るなど、実際に起きているかもしれない場面に客席は戦慄する。
最近、死刑判決後の再審開始が決まった日野町事件では、「警察官の暴行や脅迫で自白した疑いがある」として裁判所が自白の信用性を否定している。舞台はこの事件をほうふつとさせる展開で、きわめてタイムリーだ。
また、秀逸だったのはラストシーンだ。舞台から投げかけられた結末は、客席の一人ひとりに考察を迫っている。
休憩を挟んで2時間半の力作だがまったく疲れを感じない。食い入るように舞台を見つめた。見事な作品だった。