アオイの花 公演情報 “STRAYDOG”「アオイの花」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い、お薦め。
    理屈ではなく感情に強く訴える公演。内容的には重く苦しいが、舞台としては面白く観応え十分。物語は説明にある通り、いつもと変わらない日常が、突然1人の少年によって奪われる。「通り魔事件」に遭った女の子が娘・アオイ(=愛生)だった。生死を彷徨うアオイを家族は必死に看病するが、彼女は10年という短い人生に幕を閉じる というもの。

    物語は、アオイが生きていた頃の平穏で幸せな日々と 亡くなってからの家族の悲しみ。さらに家族を取り巻く人々と(社会)状況、そのありがちなコトを点描し長い年月(12年、アオイの十三回忌迄)を紡ぐ。アオイが遺した思い、それを残された家族1人ひとりが、再び「真に生きること」に向かい合うまでを描いた感動作。それを“STRAYDOG”らしい歌(合唱等)やダンス、さらにヘルマン・ヘッセの名言を織り込んで、叙情豊かな仕上がりにしている。

    少しネタバレするが、上演前から数名のキャストが舞台上におり、次々に客席通路を通ってメンバーが集まりだす。皆が揃った光景は稽古場(楽屋裏)---メタフィクションイメージ、そしてその場で配役等を決め本編へ といった演出で始まる。冗談を言い合う素顔から役者(プロ)の顔へ、その和気藹々とした雰囲気が変転していく驚き。その雰囲気の落差が そのまま感情の大きな振れ幅になっていくよう。
    (上演時間1時間50分 休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術は中央に出捌け口、左右対称に半階段状の架台のような作り。ラストは上部からスクリーンが下りてくる。シンプルな造作だが、長い年月を紡ぐためセットは固定せず観客の想像力に委ねている。

    物語は、平穏な日々から突然アオイが兇刃に襲われ しばらくの間 生死を彷徨うが、亡くなる。必死に生きようとした姿、それが家族のその後(生き様)を勇気づける。防ぎようがない悲劇、その突然の出来事に呆然とする家族(両親と兄)。しかし悲嘆に暮れてばかりもいられないことが家族を襲う。社会の反応を点描することで、家族の悲しみが一層深く印象付けられる。例えばマスコミの家族への容赦ない取材攻勢、何とか他社を出し抜いて記事にしたい。また殺人鬼を神戸連続殺傷事件の犯人 酒鬼薔薇聖斗をモデルにしていることから、彼の学校責任者の対応を描く。それは予想できない事件であり学校側も どうすることも出来ないといった責任逃れの発言。社会という常識の中でしか対応できない もどかしさ。

    家族はアオイを喪った悲しみだけではなく、常識という名の理不尽さに心が疲弊していく。両親の耐える姿、一方 兄の犯人を絶対許さないという激情が、本人を荒ぶらせていく。犯罪被害者の悲しみ苦しみは想像できないが、その思いを象徴的に描いているのが兄の姿。理屈ではない感情が迸っている。さらに母が乳癌になり生きる気力が といった事情を描くことによってアオイの最期まで生きようとした姿に繋ぎ重ねる。物語では家族に寄り添って という役割を警察(刑事)に担わせている。勿論 刑事面だけで民事面の被害者救済は描かれていない。

    重く苦しい内容だが、ダンスや歌を挿入し魅せる演出で和ませる。また亡くなったアオイを追憶として登場させることで、家族の心の中で生きているといった救い。アオイは居なかったわけではなく、確かに10年間生きた。その証がラストの映像に凝縮されている。見事な余韻付けである。
    次回公演も楽しみにしております。

    1

    2026/02/13 16:51

    0

    0

  • ご観劇いただき、そしてここまで丁寧に受け止めてくださったことに心から感謝いたします。
    理屈ではなく感情に届いたという言葉は、創り手にとって何よりの励みです。重い題材だからこそ、舞台としての面白さや観応えを失わないことを大切にしました。アオイの存在が遺したもの、そして残された人々が再び生きることに向き合う過程を感じ取っていただけたなら、本望です。
    冒頭の演出や、日常から一気に物語へと転じていく空気の変化にも目を向けてくださり、作品の呼吸まで共有できたようで嬉しく思います。
    これからも、観る人の心を揺らし、明日を少しだけ違って見せるような舞台を届けていきます。今後とも見守っていただけましたら幸いです。

    2026/02/16 12:32

このページのQRコードです。

拡大