公演情報
演劇によるまちづくり・かわさき実行委員会「ミュージカル『青の砦』」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★★
1969年1月18日早朝、バリケードで封鎖された東京大学安田講堂の解除を任務とする機動隊が実力行使した。報道番組に映し出された放水シーンは今となっては時代を象徴する。だが、針が進み日付が変わっても学生達がその場に留まった史実は知られていない。国家権力すら一旦は身を引いた「戦争」だったのである。
本作は若い役者陣が集結するオリジナル・ミュージカルだが、『ウエストサイドストーリー』に着想を得たことは明らかだ。階級内の、つまり小集団をめぐる領域対立を、アトム化した「男と女」=根源価値が飛び越えられるか、という物語である。
運動は失敗に終わることが予期されていたとする議論も存在する。しかし、1960年6月15日「アンポ、ハンタイ」を掛け声に国会議事堂を包囲した20万の群衆を軽んじるべきではないと思う。
その後、最大野党だった社会党を組み込めず、「国民」運動から「学生」運動に縮小していったのは労働者の支持を失ったからだ。ミュージカルではクビを言い渡され途方に暮れる元工場勤務の青年がそれを体現する。進学率が20%に満たない当時、東大生はエリート中のエリートだった。日の当たる階級が「授業料値上げ反対!」を立て看板に書き殴っても、それは条件闘争にしか映らないのである。
ミュージカルを観てあの頃に触れた観客に過った感情は「羨ましい」だった。底抜けの、恥ずかしさをかなぐり捨てた、泥臭いまでの熱量を、わずかでも現代社会に還元できやしないか。