鳥賊ホテル 公演情報 プリエール「鳥賊ホテル」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    出来すぎた「作り話」
    それぞれの事情により、お互いに会うこともなく別々に生きてきた異父兄弟たちの「邂逅」により、母の数奇な人生が浮き彫りにされていく・・・。
    俳優たちが巧く、優れた演出によりそれなりに楽しめる公演だった。4度目の上演ということはそれだけ観客に支持されてきた秀作といえよう。
    ただ、私は最後まで作品の「作為性」が鼻につき、途中から興ざめしてしまった。お芝居は所詮虚構と言ってしまえばそれまでだが、虚構だということを忘れて観ていられるから芝居は楽しいのであって、本作は兄弟の母親である「小泉とわ」という女性の男性遍歴があまりにも都合よく出来た作り話に感じ、最後には「そのウソホント?」と言いたくなる。まぁ、事実は小説より奇なり・・・とも言うが。
    それぞれのエピソードに笑いやホロリとさせるものがあるのだが、筋立てが作為的で「仕掛けを作る」作者の意図がちらつくのがどうにも私の好みではない。「大人の御伽噺」と割り切れなかった。
    「小泉とわ」という女が自分の中で生きて血肉のある人物として息づいてくれず、兄弟の会話のキャッチボールはとても面白いのだが、作者の頭の中で作った女にしか感じられなかった。
    同様に私生児を生み、戦後、数奇な人生をたどる女を他人によって語らせる「悪女について」という有吉佐和子の傑作小説が舞台化もされたが、あの虚構の強度とどうしても比べてしまう自分がいた。
    また、再演物の宿命だが、先回りして笑う客が何人かいたのも興をそいだ。
    ただ、あくまで私の好みと満足度の問題で、このお芝居を好きだと言う人の気持ちはよくわかるのでお薦めマークをつけました。

    ※☆3.5というのが正直な感想ですが、2晩考え抜いた末、これを☆3にしたら、他の芝居との評価バランスがとれなくなると考え直し、☆4に改めさせていただきます。

    ネタバレBOX

    兄弟の性格づけや人物像はそれぞれよく書けていて面白いし、俳優の演技にも説得力があった。会話劇を退屈させない西山水木の演出が優れていると思う。
    長男の大谷亮介が祖母に育てられたいかにも育ちのよい助教授を演じていて、私としては初めて観る役どころだが感心した。父親が強盗だったために何かと兄弟からネタ扱いされる次男の井上隆志が抜群に面白かった。三男の小林正寛も好きな俳優だが、ただ一人母親と暮らした記憶を持たず、父親思いの青年警察官を熱演。「小泉とわ」が登場しないので、彼女の生い立ちは四男の土屋裕一によって語られる。4人の中では一番屈託のない性格で土屋の演技も自然でよい。四男はホストなので女性の話を聞きだすのがうまいという設定。このあたりにも都合のよさを感じてしまう。
    兄弟がすべて5つ違いで、ちょうど今年、それぞれの父親がとわに出会った年齢となっていて、母が入院しているなど、作りすぎである。
    長男の「木馬」への思い入れや「烏賊ホテル」の由来などが語られる終幕も、筋立てが作為的なので、とってつけたように思え、感動が薄まってしまった感があった。
    個人的には不動産屋として案内した風呂場から聞こえる次男の歌が「星のフラメンコ」だったり、「ホストって言ったら中条きよしみたいなのでしょう?」という台詞に、作者の岡本さんとは年齢が近い同窓生ということもあり、懐かしさと親しみを感じた。
    舞台美術もセンスがよいと思ったが、窓を開けたときの「海の背景」の絵の質感があまりにもお粗末で残念。

    7

    2010/12/15 20:41

    0

    0

  • きゃる様

    5年周期の考え方に関しては、もっと言いたいこともあるのですが、これ以上、二人でやり取りしても、どなたにも興味がないことと思い、これで閑話休題と致します。

    自分のコメントに頂いた御質問への返答は、自分のコメント欄に書きましたので、お時間のある時にでも、お読み頂けたらと思います。

    2010/12/19 14:57

    KAE様

    >さて、その件ですが、確か私の記憶では、長男は生まれてすぐに、祖母に引き取られ、父親とは、顔を合わせたこともないくらいなんではないでしょうか?父は木馬を買ったその日に交通事故で亡くなって、すぐに祖母に引き取られた長男が、6歳の時、母のとわに会いに来たら、1歳の次男が、木馬に乗っていた。だから、年齢に間違いはないのではと思えるのですが…。

    >それに、もし、御指摘のような間違いがあれば、4回も上演を重ねる中で、誰かが気付いて、修正するのではと思うのですが、如何でしょう?

    私もそう思います。あとからまた考えて、作者の設定は合ってるのだと思いました。ただ、5年ごとに男を変え、ほかの子は即妊娠したように設定しているために、50年前に黒人兵と出会い、長男は45年前に生んだと、5年違いにしてるのに対し、黒人兵と別れた「2年後」に長男の父と出会ったようになってるから、観ていると「5年」という数字のマジックに惑わされて混乱するんですね。私の頭が悪いだけかもしれません。すみません。

    2010/12/19 10:32

    きゃる様

    年齢の件は、自分のコメント欄に書きますなんて、変なことを書いてしまいましたが、先に書いたのが自分の欄で、きゃるさんのページはこちらでした。(笑)
    ドジなことを仕出かし、失礼しました。

    さて、その件ですが、確か私の記憶では、長男は生まれてすぐに、祖母に引き取られ、父親とは、顔を合わせたこともないくらいなんではないでしょうか?父は木馬を買ったその日に交通事故で亡くなって、すぐに祖母に引き取られた長男が、6歳の時、母のとわに会いに来たら、1歳の次男が、木馬に乗っていた。だから、年齢に間違いはないのではと思えるのですが…。

    それに、もし、御指摘のような間違いがあれば、4回も上演を重ねる中で、誰かが気付いて、修正するのではと思うのですが、如何でしょう?

    2010/12/18 11:07

    KAE様

    >長男の父ととわは出会ってすぐに長男を宿したわけではなく、何年か不倫関係を続けた後に、長男が誕生したと会話されていたように思うのですが…。

    そうなんですよね。私もそういう会話があったと記憶してるので、いったんはそう思ったのですが、すると5年以上長男の父と暮らしたことになり、次男を目撃したときのとの年齢差が5歳にはならないのです。50年前、16歳で黒人兵とあの家に住み、今年66歳と四男が言ってますし、長男が45歳で、5年しか1人の男と暮らさないという劇中の設定が台詞にも出てきますから。

    2010/12/18 09:12

    きゃる様

    今日、観てきました。
    きゃるさんと視点が異なる点については、自分の感想に書きましたが、きゃるさんが、疑問に感じていらっしゃる、とわの年齢について、脚本が手元になく確認できないのですが、私は、あれで間違いはないように感じました。

    長男の父ととわは出会ってすぐに長男を宿したわけではなく、何年か不倫関係を続けた後に、長男が誕生したと会話されていたように思うのですが…。
    とわが、長男を産んだのは18歳の時ではないと思いますが…。

    今度、作者に会ったら、その点、確認しておきますね。

    2010/12/17 22:35

    KAE様

    あー、お見通しでしたか(笑)。
    4人の会話は好きなんです。けっこう笑いました。ただ、男性との出会い方が5年ごとにきっちりと子供生んでて、何だかなーってシラケてきて(笑)。
    しみじみ感動したい自分がどこかにいるんでしょうね。
    たしかによく出来たお芝居でした(笑)。シリアスなコント芝居ならね、これでもいいんだけど(笑)。

    2010/12/15 22:15

    きゃる様

    あー、やはり、私の予想通りの御感想でしたね。(笑)

    その部分が、きゃるさんのお好みには合わないような気がしていました。

    私も、あれは、最初から、虚構の世界のお話として観ています。
    つまり、現実感は全く感じはしません。
    一言で言えば、「本当によくできたお芝居」という印象です。
    でも、4人の男優さんには、演じていて楽しいテキストではないかなと思います。

    さあ!今度、初見の次男が何と言うか?
    次男は、どうもきゃるさん的な感想になりそうな予感もします。

    2010/12/15 21:59

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