mug couple 公演情報 東京ネジ「mug couple」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    淡々と残る
    全体の構図が現れてくるなかで
    想いの移り変わりが伝わってきます。

    その深さや速度の違いが織りなす
    空気の重なり、そして密度が
    淡々と、でも観る側に根を張るようにしっかりと
    心に残りました

    ネタバレBOX

    暖かさと明るさをもった会場、
    二つの机を中心にシーンが重なっていきます。

    飲み物をふるまわれた開演前の場内の雰囲気をそのままに
    すっと会話に入り込む冒頭、
    会場の温度をそのまま地色にして
    キャラクターたちの空気が伝わってきます。

    しっかりと成立していながら
    ナチュラルに端折られているような会話たち、
    そこから重なっていくシーンにも恣意的な説明は感じられず
    会話に込められたニュアンスから広がっていく
    キャラクターたちの内と外。
    それが2つのテーブルと
    さらには
    そのまわりに居続ける
    役者たちの
    時間のなかで
    互いに絡まり解けていく。

    物語の全体が
    輪郭を語られることではなく
    濃淡の重なりのなかで浮かび上がっていきます。
    物語のプロットが現れる歩みに合わせて
    個々のシーンごとの肌触りが強く残る。
    ふいに現れる心の色の生々しさ。
    繋がるもの、
    交わらないもの、
    留まるもの、
    溢れるもの・・・。

    重いわけでも
    鮮やかなデフォルメがあるわけでもない。
    会場の明るい照明の下での
    どこか下世話な部分すらある
    会話劇。
    でも、舞台上の解像度に
    絡め取られるように見続けてしまいます。
    気がつけば
    感覚たちに込められた
    テイストたちが幾重にもかさなっていて・・・。
    線描では描ききれないようななにかが
    存在感を持って観る側に置かれていくのです。

    観終わって
    衝撃的とか圧倒されたとかいう感覚はありませんでした。
    でも、だからといって
    そのままにすっと席を立てませんでした。
    拍手をして、
    物語の外側に出ても、
    何かが共振している感じがする。

    淡々と残りむしろゆっくりと広がっていくような感覚に
    再び心を奪われてしまいました。

    ☆☆◎○◇◇○







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    2010/12/12 08:28

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