取調室ABC 公演情報 はらみかプロデュース「取調室ABC」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い。
    説明にある通り、3つの取調室ABCで行われるオムニバス形式の会話劇。少しネタバレするが、警察で Aは詐欺罪または風営法違反、Bは道路交通法違反、Cは少年の傷害罪をそれぞれ取り調べるが…この3話に共通する人物がカギ。

    それぞれ違う描き方によって、1話ごとにA.奇異な滋味、B.喧しい情熱、C.深い愛情といった人間模様が浮かび上がる。取調室だけにシンプルな舞台装置、そこで繰り広げられるのは軽妙・洒脱・濃密といった会話。公演の見どころは 何といっても会話の応酬と展開の面白さ。物語の通底には優しさ、それが滲み出るような味わいある作品。
    (上演時間65分)【TEAM VENGUARD(現役チーム) 公開ゲネプロ 】 ㊟ネタバレ

    ネタバレBOX

    舞台美術は、中央にテーブルとパイプ椅子。その後ろに調書作成のミニテーブルと椅子。ミニテーブルは取調室ABCの順によって、下手・上手・中央の後ろに置かれる。それによって取り調べる刑事の立ち位置も決まる。

    A.スナックげんこつが ボッタクリ営業をしており、客である建設会社 社長の妻が警察に被害を訴えた。水割り一杯2万円など法外な請求をしている。しかし社長はそれを承知でスナックへ通っている。取り調べを受けているのは、派手な服を着たママとチーママ。髪留めにチュッパチャプスという奇妙な出で立ち。取り調べているのはエリート女刑事だが、ワケありのよう。建設会社といっても中小または零細企業の社長、接待(経費)として支払い、スナックは水増し請求分を中元・歳暮に還元(主に飲料水)している。会社は それを従業員へ配給している。税法に抵触しない範囲の苦肉の策。

    B.緑川公園付近で大型ワゴン車が長時間停車している。しかも窓ガラスにはスモークフィルム、そして車内から大音量の音楽が流れている。近隣住民からの苦情で事情聴取。車の持ち主は共同名義の主婦3人。コスプレ好きの漫画オタクで、家族に内緒で執筆するため車を購入し、秘密基地のように使っている。取り調べをしているのは、自分も若い頃は小説家を目指していたが 挫折したというベテラン男性刑事。主婦たちの願いで 漫画の原作を提供することに、刑事もまんざらでもない様子。

    C.引き籠りの少年(17歳)が、2階から道を歩いている男に向かって水晶玉を投げ 大怪我を負わせた。少年の母が事情聴取されており、普段は大人しいのに何故そんなことをしたのか。取り調べは ベテランの女刑事で、寄り添うような対応をしている。
    全ての取調に立ち合い記録をしていた婦警が、3つの取調室の出来事から或る推理をする。最近管内で不審者が徘徊、緑川公園付近で女子高生が襲われそうになり 悲鳴を上げ、その様子を見ていた少年が男(犯人)に向かって水晶玉を投げたらしいと…。

    取調をする刑事は、皆 黒いスーツで隙のない恰好。A.ではエリートらしいが最近起きている事件の捜査には関わらせてもらえない。B.は燻り続けている文学への憧れを忘れられない。C.では息子がかつて暴走族で警察沙汰になったと。一見ハチャメチャのような取り調べを通して、刑事の人間らしい面を浮き上がらせる。A.杓子定規のエリート意識が和らぎ、B.文学への思いを取り戻し 刑事と両立、C.自分も息子との関りで悩んだことがあったと弱みを漏らす。取調室という厳めしいタイトルとは逆に 優しさに溢れた内容。

    オムニバスの取調室ABCが収斂し、まったく別の隠れた犯罪を炙り出す。調書を作成(記録)していた婦警が、事件の全貌を推理し 管内で起きていた不審者による犯罪が解決。しかし あんなにミニスカートの婦警がいるかなぁ(ミニスカポリスじゃあるまいし☜古い?)。
    次回公演も楽しみにしております。

    0

    2025/12/25 16:54

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大