公演情報
スヌーヌー「月の入り江」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★
観劇できた。会場も初。戸塚にこういう空間が存在した事も発見。入っても三十人かという空間だが設えが良く、清潔感があり土足厳禁。ステージから客席がそれなりの傾斜ですぐに急峻な角度となる。
笠木泉氏の本作。ある女性の一日を描いたものだがどうやらこの女性(渡辺梓)は高齢であるらしいと次第に分かる。この女性の分身(上村聡)が時折立って観客に物語を語り、信頼のおける情報を届けてくれる。この日は買い物の日、週一回のハレの日である。その準備に掛かる。過去のエピソードもふと思い出される。今は居ない夫はずっと、ステージをゆっくりと歩いている。風景のようだ。
こういう人生晩年のある個人を他の存在たちの手を借りて描写するタイプの芝居は既視感がある(思い出せば幾つか舞台も観ていそうだ)。老いとその肯定(人生讃歌)が主題の作品も多々あるが、淡々と描かれる特筆される事象が起きる訳でもない時間は、にも関わらずじわじわと迫り、抉ってくるものがあった。「筆力ゆえ」という概念を当ててみる。
場所の記憶と共に刻印されそうな観劇体験。