公演情報
公益財団法人横浜市芸術文化振興財団「クラウド・ゲイト・ダンスシアター(雲門舞集)『WAVES』」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★★
ホールを埋める観客(1200席中1000人は入っている目算・・一階最後方空き、二階席サイドは封鎖)。中央辺りの関係者席の一列には長塚KAAT芸術監督も座っている。本プログラムは各会場で一回のみ上演(他二会場ある)。台湾のダンスグループ13名(ソロ、団舞、デュオ)、音、映像の融合パフォーマンス。没入体験。
坂本龍一が構想しその死後高谷史郎が作った何作目かのインスタレーション「TIME」が質的に近く思い出されるのは映像と音の存在感だろう。ただしTIMEの音源は坂本龍一氏によるそれで、今作は音と映像、その舞台上の設えが真鍋大度氏のアートの領分である。
深淵で静謐にさえ感じるが結構鳴ってる音、絶えず動き続ける捨象のタッチさえ細密な(意図的であり同時に偶発的な)白黒を基調とする映像、勅使川原氏流の「変転の連続性」を集団ムーブにも取り入れてしかもズレを起こす(ミニマルミュージック的な)身体芸術は、見ていて目を奪われ、やがてその「自然現象」性からか睡魔にも見舞われる(小生は被害を最小に留めたが前列右の青年は中盤から完全に持って行かれ終演の拍手で覚醒。が催眠性の高いパフォーマンスにしては寝落ち組は少なく見受けた)。しかし眼前の現象は「問い」の角度を鋭くして脳に刺激を送り続けて来る。
先般拝見したピーピング・トムは美術や仕掛け、描写される日常場面などに具象の成分比が高かったが、本作では舞踊本来の性質即ちノンバーバルな抽象度の高さにより観客それぞれがどう感じこれを持ち帰ったのか興味がある。もっともその感想を聞いてもピンと来ないだろうけれども(この感想がそうであるように)。