くまむく~閻魔悪餓鬼温泉騒動記~ 公演情報 カムカムミニキーナ「くまむく~閻魔悪餓鬼温泉騒動記~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    和歌山県の熊野温泉。湯治で長期逗留の松村武氏、吉幾三みたい。
    まだ赤ん坊だった頃、猟師の母親(長谷部洋子さん)が目を離している隙に熊に襲われる。泣き出す赤ん坊の声に熊は殺すことをやめた。すかさずその熊を撃ち殺す母親。それからずっと松村武氏は自分を殺さず生かしてくれた熊の恩に報いたかった。ある日、青年オグリ(夕輝壽太〈じゅった〉氏)を見かけ、彼こそがあの時の熊だと確信する。魂の転生。誰も信じてはくれないだろうが間違いない。そして彼の口ずさむ唄はあの日の母の子守唄。彼を守ることに生涯を捧げようと決める。

    熊のヴィジュアルが劇団鹿殺しっぽい。手にぽっくりを付ける。

    温泉宿の若女将、北久保実佑さんは松井玲奈っぽい。娘の桜木雅さん。東京から来ている客、女優の藤田記子さん、付き人の小宮夏奈子さん。

    客席三面、延びた通路が四角を囲むステージ。低くなった四角部分が温泉になったりする。

    ネタバレBOX

    話の作り方と展開が連想ゲームみたいで鴻上尚史とか野田秀樹(?)なんかのスタイル。後半無理矢理帳尻を合わせる奴。第三世代の小劇場ブームとかの系列なのか?ああこの系か···、と思って観てた。松村武氏は俳優としては観て来たがカムカムミニキーナは初めて。観客参加型バラエティ番組演劇。個人的にはジャンルとして好みじゃない。撮影日だったが空席が目立った。途中、女性客が席を立ったが自分も体調が悪かった為、帰るか観るか葛藤した。(ラスト近くが素晴らしいので観て良かった)。

    薬の行商人・照手(八嶋智人〈のりと〉氏)は化粧をすると美人(佐藤佳奈子さん)に化ける。松村武氏はオグリと照手を代筆の恋文によって娶らせる。だが照手の姉の策略により、オグリは毒殺され地獄に堕ちる。松村武氏も自害して後を追い、閻魔(八嶋智人氏)に陳情する。閻魔はオグリを餓鬼阿弥として地上に戻す。餓鬼阿弥とは人の情けを借りて生きるしかない癩(らい)病(=ハンセン病)患者。当時、その無惨な風貌から「餓鬼病み」と呼ばれた患者を時宗(浄土宗の一派)の信徒が「餓鬼阿弥」と称したらしい。遠く熊野の湯で湯治するしか治す方法がない。

    ここの描写が素晴らしい。餓鬼阿弥のお面を代わる代わる被って皆が差別し皆が差別される。手塚治虫的世界観。「有難うございます。」蝿のたかった癩病患者など誰も関わりたくはない。だが誰かが手を差し伸べ誰かが力になった。それが人間の歴史。正しいも正しくないもない。自分に出来ることが何かあるのならば。善も偽善もない。真実なんかじゃなくていい。誰もが餓鬼阿弥で同じく誰もが餓鬼阿弥を蔑視した。「有難うございます。」餓鬼阿弥は神奈川県藤沢から和歌山県熊野まで無名の人々の見返りのない力添えによって土車で運ばれた。ここ熊野温泉で皆が待っている。

    「好きです付き合って」の恋文が良かった。

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    2025/11/15 18:33

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