西に黄色のラプソディ 公演情報 フライングシアター自由劇場「西に黄色のラプソディ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ネタバレ

    ネタバレBOX

    フライングシアター自由劇場『西に黄色のラプソディ』を観劇

    アイルランドの劇作家・J.M.シングの喜劇を串田和美が潤色している。

    あらすじ:
     父親を殺した青年クリスティは、小さな田舎町の居酒屋に逃げ込む。酔客たちは嘘か真か?と青年の戯言を聞きながらも好意を頂き、村内に受け入れてしまう。許嫁がいるペギーンまでもが青年に惚れてしまい、クリスティは人気者だ。
    だが殺しはずの父親が現れるや否や、クリスティは窮地に追い込まれてまう…。

    感想:
     喜劇という形をとっているからか、おもしろおかしく鑑賞していけるが、観客自身も村人たちと同じように青年に疑念を抱き始めると、悍ましい人間の本性と集団心理によって、村人たちの理性が崩壊していく様が見えてくる。
    クリスティの父親殺しに歓喜の声を上げ、ヒーローと崇めえる村人たちと青年に恋に落ちるペギーン。「脱力コメディーかい?」と思わせる毎回の串田節は、いとも簡単に物語に没入させてくれるが、そこから待ち受ける壮絶さは言葉には出来ないほどだ。演劇を鑑賞していると登場人物に同化してしまう瞬間が多々あるが、その入り口はかなり危険だ。
    清水邦夫と蜷川幸雄『鴉よ、おれたちは弾丸をこめる』を思い出さずにはいられないが、やはり串田作品『白い病気』が真っ先に浮かんでくる。その作品の時もそうだったが、戯曲が書かれた時代と場所が違えども、政治も社会も人間も過去の出来事を顧みず、今に至っていると憤慨している演出家・串田和美の怒りが見えてくる。
    既に何度も再演しているようだが、今回は最終地点にたどり着いたと確信してしまうほど完成度の高さを感じられる。
    伝説の女優・銀粉蝶が出演しているは忘れてはいけない。
     
     お勧め。

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    2025/10/20 16:18

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