公演情報
MODE「プンティラ旦那と下男のマッティ」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★
東西対立が厳しかった時代に、社会主義劇の代表、未来の民衆演劇の開祖ともてはやされたブレヒトは、もうソ連が崩壊してから、三十年もたつが、意外に寿命が長い。立場も逆に変えて立派に資本主義国で上演されているのだからたいしたモノだ。本人は第二次大戦中は資本主義国を放浪、この{プンティラ旦那と下男のマッティ}はフィンランドを舞台にした風刺喜劇風作品で、今となっては、かなり古めかしく、地主階級の扱いも労働階級の処理も、音楽(歌芝居)の趣向も、古めかしいが、話の展開や、キャラクターが生み出す喜劇的趣向や筋立ては、世の移り変りにかかわらず、芝居として面白く出来ている。
演出の松本修は二十年ほど前には小劇場MODEのリーダーとして、さまざまな現代劇を小綺麗なポストアングラ劇にして見せてくれて、固定フアンもあった。ケラに先立ってカフカの作品を芝居にして見せたシリーズなどフレッシュでよかったのに世紀が変わる頃、急に関西に本拠を移し、数年前に戻っているとは聞いていた。そういう放浪風なところはブレヒトに似ているのかもしれない。こういうのは本人の都合だから外からは窺えない。
だが、舞台作りは昔と基本的には変わっていない(ようだ)。東京の末期のMODEは、最後の頃はクセのある上手い俳優が男女あわせて十人足らずはいて、独得の劇団風があったが、帰京後の劇団に彼らの顔が見えず、それに変わるいまの役者がまだ、出来ていないのが残念なところだ。しかし、あまり作り方も変わっていないところを見ると、しばらくすれば、またかつてのMODE風の舞台が見られそうで楽しみだが、今は大方の若者劇団は、舞台に得になると見ると、どんどん客演を迎えて舞台そのものの充実を目指すようになっている。もちろんそれでもいいが、劇団として集団の充実を目指すのは、まどろっかしいが基本線ではある。
だが舞台の結果を考えれば。そこはあまり強情にならない方が良いのではないか。