mother 公演情報 元素G「mother」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ホラーとダーク・ファンタジーの要素を取り入れた 独特の世界観に魅入らされる。現界と異界を交錯しながら展開していく物語。怖いもの見たさ という刺激の希求、恐怖と好奇心という相反する感情の狭間で揺れる思いが上手く表れていた。ダークでグロテスクな要素にダンスパフォーマンス、さらにユーモアを加えた 大人向けの公演。

    物語は、異界のものたちの怨念の原因なり理由はハッキリ明かさず、秘めた謎にしている。しかし、タイトルにある「mother」的存在の紅蓮が呟く一言がカギ。都市伝説的な廃墟で起こる奇妙な出来事、それを浮遊感あるダンスで表現する。やはり 元素Gの表現力はすばらしい。そのパフォーマンスを引き立てる音響/音楽や照明といった舞台技術が 妖しげな世界観を支えている。
    (上演時間1時間35分) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は、廃墟イメージの汚れたコンクリート壁、上手/下手に鉄骨柱。中央上部に格子状の窓が並び、板には底上げした敷鉄板に階段を設え、下手は別空間。全体的に怪しく不気味な感じを漂わせている。

    物語は、説明にあるように 烏丸理人は、収益化されていないホラー系動画ー後ろの正面チャンネルーで編集活動をしながら、気まぐれにカフェでバイトをする。或る日チャンネルのメンバーが『廃墟に行ってからおかしな事が起こっている』と幼馴染から相談を受け、撮影も兼ねて調査に向かう。廃墟に何もなく、撮影は無事に終わったかのようだが…おかしなことに 後日1人の女性が妊娠する。医師は想像妊娠というが。

    後ろの正面チャンネル=「かごめかごめ」の歌を連想。その歌詞に込められた意味---姑によって後ろから突き飛ばされ流産した妊婦や、遊郭等から抜け出せない遊女を謡ったとする俗説があるらしい。物語では、デザイン違いで汚れた(または血が付いた)白い衣裳の女性が多く登場するが、台詞はない。薄暗い中で踊る(白い)姿は浮遊感があり、まるで幽霊のよう。YouTuber(メンバー)は踊っている姿が見えないことから、この世のものではない。

    男優陣は主に現世のYouTuber、女優陣の多くはダンサーとして妖しい世界観を表出する。勿論ダンス/パフォーマンスは見事で、その演技だけで魅了する。この世のものではない妖(アヤカシ)を統べるのが紅蓮ーMother的存在。想像妊娠した女性は行方不明になり…劇中では白いシーツで出産シーンを被う。紅蓮の 愛する人の子が欲しい、その一言によって廃墟で彷徨っている白い浮遊者は紅蓮の子のよう。観応え十分。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2025/09/27 23:46

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