an-mon 公演情報 team UZU.UZU「an-mon」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    これはある地底アイドル(=地下アイドルの下)のLIVE。この妙な面白さは昨年観たPeachboys最終公演、『ピーチボーイズ〜新性器エヴァンと下痢男〜』に近い。人に熱心に薦めるような作品ではないが、「じゃあつまらないか?」と問われたらそんなことはない、かなり面白かった。要するに伝え辛い楽しさ。本多劇場グループの創設者、レジェンド本多一夫氏91歳!率いる小劇場アングラ・オールスターズ。本多一夫氏は俳優としても舞台に降臨する。

    箱馬の上に置かれた一本の水の入ったペットボトル。それを見つめる日南莉緒菜さん。一人また一人と舞台袖から現れる役者達。皆ゼッケンに自分の誕生日を付けている。

    測量船ビーグル号に乗った若きチャールズ・ダーウィン(小林桂太氏)、世界中を航海し生物の分布を観察、自然選択説に行き着く。

    4人組の地底アイドルグループ、アンモナイツ。「私達、古生代アイドル、an-mon-nights!」
    どこかのイベントスペースでサイン会を開いているが無論誰も来ない。
    日南莉緒菜さんはもろアイドル顔でどっかの元メンバーだろうと思って観てたが全く違ったらしい。
    大図愛さんは流石。多分一番人気が出るタイプ。
    凜果さんは衣装振付も担当、多才。この衣装はイケる。
    飛田大輔氏も色物かと思わせてキッチリハマる。
    普通に活動していても成立するクオリティー、4人のバランスが良い。
    全く売れないアイドルグループが自分達が生き残る術をダーウィンから学ぼうとする物語。“もしも地底アイドルグループがダーウィンの『種の起源』を読んだら。”根底にあるテーマはmétroの『REAL』と同じ。世界の激動と先行きの不安に揺れる日本人の集合的無意識は同じ音色で響き合う。月船さららさんと森ようこそさんの共振。

    謎の婆さん、佐藤梟さんが現れて「羊の絵を描いて」と頼む。『星の王子さま』じゃないんだからとあしらうもしつこい。仕方なく描いてやると御礼に望みを叶えてくれると言う。半信半疑でペットボトルの水を飲む4人。異世界に吹っ飛ばされる。アングラ地獄巡りの始まりだ!

    ネタバレBOX

    ダンサー、三浦ゆかりさんはグラスと瓶と踊る。多治見智高ジーザス氏のヴァイオリン伴奏。
    中村天誅氏の応援団。好井子ユミさん(=チンドン好井さん)は闘魂マフラーとチンドン太鼓で加勢。
    田中真之氏は人魚が見たくて少女の眼球を抉る男。
    バレエの福島梓さんはテープをレーザートラップのようにステージ中に張り巡らす。台湾女優スー・チーっぽかった。ウクレレ。
    のぐち和美さんはガラパゴスゾウガメ?
    森ようこさんと長谷部洋子さんは黒白デュオのように対称的に踊る。

    本多一夫氏は伝説のアイドル、「BEAGLE GO」としてアンモナイツに啓示を与える。2年前に虹企画/ぐるうぷシュラ98回公演を観に行ったが、主宰で構成演出出演の三條三輪さんは99歳だった。(戸籍と実年齢が2歳違うそうだ)。しかも当時はまだ耳鼻咽喉科医としても現役。(現在は女医は辞めたが女優としては活動中、来月102歳)。本多一夫氏はまだまだ行ける。

    ダーウィンの提唱した進化とは進歩ではない。生物の進化、方向性選択とは環境に適応するだけのものであり、一つの方角(目的地)を目指して向かっている訳ではない。環境に適応する為に時には自らを劣化させることさえある。「自然淘汰」のメカニズムの中で偶然環境に適応した「突然変異」を持って生まれたものが偶然生き残る。結果として生き残っただけで全ては偶然に過ぎない。重要なのは与えられた環境で前向きに肯定的に生きていくポジティヴ・シンキングの姿勢。生き残れないかもしれないけど、それはただの結果。プロセスを楽しむのが人生だろう。

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    2025/09/25 16:44

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