Voice Training 2025 公演情報 虚空旅団「Voice Training 2025」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    主宰の高橋恵さんの挨拶から力があった。作品を観ると本物の脚本を書こうとしているのがよく伝わる。目指しているものは人間の救済の可能性、その具体策と考え方のヒント。とにかく観終わった後に観客に何かを持ち帰って貰おうとの強い願い。カルチャースクールを体験受講したような感覚。トーマス・マンが教養小説なら、教養演劇か。そしてそれをドラマとしてさらりと成立させる貫禄。
    主演の丹下真寿美さんが凄腕、これぞプロ。発声練習の時の表情が最高。

    全10回の話し方教室講座。5回を終えたところで講師が体調不良で降板。担当(山下真実さん)はピンチヒッターとして実の姉(丹下真寿美さん)に依頼。離れて暮らす姉はラジオのパーソナリティ(司会進行)をやっていた。
    受講者は4名。ロリィタファッションのZ世代、礼儀知らずのSHOP店員、野矢アヤノさん。浄土真宗の住職の娘と結婚し入り婿となったガタイの良い坪坂和則氏、話下手で声が大きい。職場のコールセンターで昇進が決まり、プレッシャーが掛かる木山梨菜さん。終末期医療(ターミナルケア)のある病院で緩和ケア病棟で働く看護師、得田晃子さん。引っ込み思案で声が小さい。皆それぞれ悩みを抱えてこの講座までやって来ている。果たして丹下真寿美さんは無事役目を果たせるのだろうか?

    非常に考えさせられた。他の作品も気になる。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    voice trainingというよりも、 public speaking class(話し方講座)みたいな授業。

    得田晃子さんは凄い。演技とは思えずその辺の人をただ連れて来た感じ。実は物語の核を握る。
    野矢アヤノさんも演技なのか?地としか見えない。
    坪坂和則氏はアルコ&ピースの平子っぽくスター性がある。
    理事の早川丈二氏は若き麻生太郎っぽい。喋り方や口の挟み方など。

    勿体無いのは長過ぎる。構成が単調で後半から中弛み。もう少しエピソードの配置を練れば格段に良くなると思った。受講者の成長と観客の意識をリンクさせていくことで精神的に解放されていく作品。話の終わらせ方は見事。

    凄く残った台詞に「誰の答もどこかしら間違っている」。正解を選ぶのではなく、取り敢えずの間に合わせの答で対処しながら考え続けていく。ずっと考え続けること。正しいとの結論が出ていない状況でする行為は演技になるのかも知れない。ただ演技とは嘘をつくことではなく、現在進行形の答の為の潤滑剤である。『自分も含めて皆どこかしら間違っている』、この考え方は思考をとても柔軟に自由にしてくれる。何処かに圧倒的に正しい答があるわけじゃない。

    「演技」に関しての議論については森田療法の「目的本位」を重ねた。

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    2025/09/06 20:35

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