CRIMES OF THE HEART 公演情報 サカバンバスピス「CRIMES OF THE HEART」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    秀作としてタイトルのみ記憶にあった本作を贅沢に味わえた。思いの他ウェルメイドではあったが、ハッピーエンドを下支えする含蓄が豊かである。ある一件で久々に顔を合わせる事となった、全くタイプの異なる三姉妹が当初は「肉親としての繋がり」を表層では見せながら、やがて諍い多かったであろう往時に舞い戻り、それぞれに過去を乗り越えて現在の紐帯を確認する。自宅で人を待つ主役らしい日下由美演じる長女は、齢三十との台詞に「おいまじ?」と心中呟くも実は目が離せない。物語解釈において年齢は重要だが「老けてると言われる」で一応の正当化。だがこの細やかに見せて来る演技という名の「芸」に当てられている。奔放な次女(名塚佳織)、今回の問題児で甘えん坊(実は芯がある)三女(磯部莉菜子)の関係性の核となる。久々に目にした(serial numberでは暫く見ない)田島亮、憎まれ役の親戚役・上野裕子、良き心根の役が演れると知った佐藤銀平とのアンサンブルも良し。
    アメリカ南部の「遅れた」町で、問題の三女ベイブが夫を銃で撃ったとの報が入り、既に保釈の身である彼女を呼び戻す連絡をしたのだが、と従姉に語る長女、そして糸の切れた凧の如く「歌手」として地方を回る次女にも連絡をした、と。あっけらかんとした三女。終盤、微かに彼女が精神的支配を夫から受け、人格を損ない続けていた「監獄としての夫婦関係」の気配がよぎる。徹頭徹尾女という主体から見、語られる女性賛歌であり応援歌だが、共感以外になかった。

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    2025/09/06 02:02

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