WAR BRIDE -アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン- 公演情報 TBS/読売新聞社/TBSラジオ「WAR BRIDE -アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    チョコレートケーキの商業演劇登場である。副題に「アメリカと日本の架け橋桂子・ハーン」とあるから、主宰のマスメディアらしい終戦・実録ものの夏興行である。チョコレートケーキの作・演出が大劇場興行でどう戦うかも見どころである。
    題材はチョコッレートケーキでは手慣れた戦時国境ものである。既にこの劇団は初期に「その頬熱二焼かれ」という原爆被爆少女たちの米国での整形を扱った再演を重ねた注目作作品がある。大手町の読売新聞のホールでの公演は、いつもの下北沢の百人規模の作品とは違って当然である。もともとはTBSの実録番組だが、今回は国際協調・和解に絞っていて、話は学校公演にありがちのウンザリするお説教に終わりがちだが、さすが、チョコレートケーキ、その中で人間和解への道を見せようと大健闘である。内容は「次世代に届けたい、戦争を乗り越えた真実の姿」という1行の表向きのキャプションを出ることはないが、そのなかで、まず、いいところ。
    こういう話では、責めても意味のない敵役が出てくるものだが、そういう安い敵役が1幕はじめに出る主人公の同僚兵士以外、出てこない。それなのに、類型的でない戦後の空気を今の時代に通じるように作っている。ことに主人公の擁護派の父母の置き方が、この時代にも確かにいた戦中良識派の実感をきちんと表現していて上手い。テレビの朝ドラになりかねないところを救っている。アメリカの地方の差別は、行ってみれば呆れるほどのものだが、そこは普遍化しにくいので、苦労している。ここは少しわかりにくいが、そこはやむを得ない。現実は姉妹都市などになってみても解決しない、問題の核心である。
    ということで、大衆劇という条件はあるにせよ大劇場、ノーセット階段風裸舞台で場内泣かせる技はたいしたものである。(終戦直後に見せられたアメリカ映画の味がする。観客が安心して泣ける)。
     チョコレートらしからぬと感じたのは。第1幕(75分)はいいとしても(それでも5分は長い)。後半の90分は長過ぎる。2幕後半は落とし所を探っているようでもあり、話が行きつ戻りつしている。枠の現代記者たちはもう少し使い方があった(現代の視点)のではないだろうかと思う。ここは、商業演劇なのだから、そういうのは諦めて菊田一夫ばりに直球泣かせで行ったほうが良かったかとも思う。そこで照れても仕方がない。俳優、好演。ほぼ満席。

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    2025/08/14 14:37

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