燃える花嫁 公演情報 名取事務所「燃える花嫁」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    昨年、この作家の『日曜日のクジラ』を観てイマイチだった。今回も前半はハマらずこの作家とは相性悪いなと感じたが最後まで観ると本物。もっと受け狙いの兄ちゃんかと思っていたがガチガチのマジの人。本気で真剣に世界と取っ組み合おうとしている。今、2025年だぜ。ああ本気なんだな、この人。名取事務所がオファーする訳だ。
    実はもの凄く古典的な物語。余りにオールドスクールで驚く程。ポル・ポト、チェ・ゲバラ、毛沢東、金日成、ウラジーミル・レーニンにカール・マルクス···、PUNK ROCKでも構わない。とにかく今の自分の思考回路を支配する鉄の掟のような価値観から自由に導いてくれる風であるならば。

    凄いのは構成。『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』の『DEATH』編を思わせる。これはTVシリーズ24話の総集編なのだが初見の人には全く解らない作り。各登場人物が死ぬ間際に見る走馬灯のようなスタンス。解らなくてもいいから感じてくれ、みたいな作風。勿論今作はきちんと解るようにしっかり作られている。逆にこの構成にした作家の意図こそがミステリー、その謎を観客が頭の中で解いていく作品。

    MVPは鬼頭典子さん。この人のキャパシティは想像を絶する程大きい。有り得ない役を振れば振る程開花する。
    そして森尾舞さん。この役を女性にしたことが大きい。
    更に平体まひろさんは流石に凄い。時系列でルックスを変えてみせる。本当に心が生き生きと生命を謳歌し羽根を天空に開いてみせた時の美しさ。

    テーマは『移民と差別』。もろクルド人の物語として受け止めた。正解のない世界でせめてもの擦り合わせで作る、よりマシな答。ラストのタイトルロールは鮮烈。
    是非観に行って頂きたい。

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    2025/06/12 23:15

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