絵本町のオバケ屋敷 〜愛!いつまでも残るの怪!〜 公演情報 優しい劇団「絵本町のオバケ屋敷 〜愛!いつまでも残るの怪!〜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    「個性を味わい尽くす」という体験

    ネタバレBOX

    稽古は1日、当日集まったメンバーで即興演劇を行う企画。台詞は概ね入っているが、ときどきプロンプターとなった主宰が登場し進行をサポート。会場全体でトラブルを楽しむという構造が斬新で、演劇の可笑しみが存分に引き出された上演だった。戯曲はオムニバス形式でモノローグを中心に組み立てられており、なし崩し的にぐだぐだにならないように工夫されている。その分、俳優の責任は重く、声の響きやミザンスはある程度指定があるとはいえ、その場の応用力で組み立てていかねばならない集中力の必要な過酷な上演である。

    トラブル発生時、また上記のような緊張感と極度の集中の中では、役というよりは、俳優個人の個性や特性が前に出やすい。声のよさや所作の個性が端々に瑞々しく感じられ、まさに俳優を見る上演として合目的的に構成されていた点、とても興味深かった。無論、俳優だけでなく、スタッフワークの個性も滲む。俳優より目立っていた灯りを操るダンサーのような動きの照明担当や、劇中音楽の選定、主宰の前説と全て資源が限られた中でDIYでやっているからこその味わい深さがあり終始チャーミングであった。

    (以下、ゆるいつぶやき)
    全編、動画写真撮影OKなのには驚いた。1回きりの上演だからこそ、ネタバレも何もないのである。コロナ過以後、演劇のアーカイブ化がぐっと進んだが、今回のような会場全体の空気感やカメラに映りにくい微細な面白さをアーカイブしづらい演劇もある。隣席の方々がみんなお気に入りのシーンをアップで撮影しているのを見て、各々のスマートフォンで記録を撮り、各々で保存しているというのは演劇のライブ性の新しい保存・共有方法であるように思えた。監督気分で主体的に作品を楽しもうとする姿勢を促せるのもいいですね。

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    2025/05/22 18:09

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