再演 みやこほたる  公演情報 劇団匂組「再演 みやこほたる 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白い、お薦め。
    初演の「『みやこほたる』~ふみのみやこのお受験殺人考~」は観逃したが、今回 再演を観ることが出来て良かった。確かに”お受験”といった環境が殺人へ といった描き方だが、その底には女性の生き難さといった時代背景が浮き上がる。一人の女性であり妻であり母でもある。その時々で本音と建前を使い分け、状況や環境に適応しようとするが…。

    公演は、女優2人による それぞれのモノローグで成り立っている。1人ひとりが心情を激白、その様子を照明と音響・音楽といった舞台技術が効果的に支える。少しネタバレするが、事件をルポルタージュ形式で語り、その現実として加害者が心の変遷や苦悩を吐露する。さらにルポした女性が自らの体験を追想することで、女性の仕事・結婚・出産・育児等といった中で感じる生き難さを訴える。そこにお受験殺人という 単なる興味本位の事件ものとは違うドラマが立ち上がる。それを生ナマしく演じた女優2人ー小林もと果サンと速名美佐子サンの熱演が素晴らしい。
    (上演時間2時間 休憩なし) 【ほたる班】

    ネタバレBOX

    舞台美術は、客席から観て床(板)に三角形、その頂点となる奥、底辺の左右、その三か所に箱馬が置かれている。それとは別に客席寄りに直方体が1つ。上手の箱馬に光子、下手の箱馬に京子が座る。基本的には あまり動かないが、印象的なのは京子が踊りながら奥の箱馬を回りながら歌うところ。 法廷シーンであろうか、光子が泣きながら立ち上がるところ。上演前には、子供たちが元気に遊ぶ声が聞こえている。

    実際にあった事件を、京子がルポルタージュとして語るスタイルで展開する。加害者 光子とは直接交わることなく、それぞれのモノローグで綴る。説明にある ”ふみのみやこ”は東京都文京区、その地にある有名幼稚園、小学校が舞台背景になる。そして京子と光子のそれぞれの生い立ちや境遇を語ることで、お受験という争(戦)いへ参戦することになった理由なり動機が明らかになっていく。子供を公園で遊ばせるが、そこで聞く話や噂に翻弄され、我が子も有名幼稚園や小学校へ入れたい。しかも一次(試験)は抽選だから望みもある。そんな見栄や願望が受験に拍車をかける。この地域階層の構図を鮮やかに浮き上がらせている。

    京子は昭和24年生まれの団塊世代。どんなに学業が優秀でも短期大学を卒業して、わずかな期間働いて結婚し 寿退職する。仕事も男性の補助的なものでキャリア アップなど考えられない。それでも書くことは好きで、エディタースクールで学び少し認められるようになるが…。
    一方 光子は京子より年下であるが、家庭環境等もあり 何となく結婚した。相手は文京区にある寺の副住職だが、自分の寺ではなく通い。その気苦労もあって 光子の話を真摯に聞いていない。「夫は声は聞くが、心の声は聴いていない」という台詞は重い。住宅環境(高級住宅、賃貸マンション、社宅の違い)や公共施設等(公園や教育)、そこにある ちょっとした蟠りや嫉妬・羨望が事件へ。

    法廷での光子の供述…なぜ子供を殺してしまったのか? その明確な理由や動機が語れない。光子は 幼い頃から生真面目で融通が利かないといった性格。目の前にいる子さえ いなくなればというモヤモヤした気持が高じて…。その有り様を情感豊かに演じており感動する。この物語は、あくまで加害者(犯人)視点で描いており、犯行に至るまでの光子という女の生い立ちと お受験という状況背景を、第三者の京子という同性が客観的に語る、そこに生々しい女性のリアルを感じる。勿論、被害者視点で描けば、違う感情が生まれ 別の物語になるだろう。それだけ広く深く 考えさせる公演。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2025/05/16 18:30

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