公演情報
祭文庫「Two Be or Not Two Be」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★
言葉は平易で 難しいと言う訳ではないが、自分には なかなか手強いといった印象の物語。内容は「ここは獄 囚われの宗教家の男と、獄吏の女 2人が織りなす会話劇。2人は出会い、響き合い、そして何処に行くのか」の通りだが、その会話が哲学的というか観念的で、「人間は何故生きるのでしょうか?」と問い掛けてくる。場所は、獄舎という逃れられない小さな空間、それを皮肉にも”楽園”という劇場に見立て緊密に紡いでいく。たびたび出てくる言葉「価値観を変える」は、人の心そのものを意味し、それまでの生き方を見直すということ。
手強いと感じるのは、この世界観である。過去なのか未来なのか判然としない、その足元が定まらない不安さが心をざわざわと落ち着かせない。立場や生き方が違う2人、相容れない会話がヒリヒリとした痛みとなって伝わる。綴られたその終点の見えない旅は、観る者の胸に深い爪痕を残し…そして「その先」を想像させるような。獄や刃物というリアルな場所や小道具にも関わらず、抒情的とも思える演出が特徴的だ。観客を選ぶ公演かもしれない。
(上演時間1時間10分 休憩なし)