悪魔の絵本 公演情報 Theatre Polyphonic「悪魔の絵本」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    一言で素晴らしい!それだけ
    個人的にDULL-COLORED POPの谷賢一の本は好きだ。彼の描く主人公には必ずといっていいほどの精神の歪みが存在する。しかしその歪みは他者に攻撃する歪みではなく、いつも内向きだと感じる。自らを責めて屈折して歪む。だからストイックまでの歪み具合の描写は観ているこちら側の感受性をを大いに打ち鳴らすのだ。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    セットが素敵だ。合わせて椅子の配置も中々いい。今回の音楽は生西谷国登のバイオリン。やはり生の音楽は美しい。

    粗筋は説明に細かく載っているのでかいつまんで。
    編集者川田希が「ファクトリー」で作家・瀬田賢二の遺稿を読みながらかつての瀬田と関わりのあった人たちから瀬田との様子を取材し瀬田賢二を描写していく物語。

    川田希役の市井紗耶香が緊張していたのか、セリフが聞き取れない部分があって、それがひじょうに惜しい。スピーディにしゃべりまくる役なのだろうか?もっときちんと話しても充分に雰囲気を損なわないような気がするのだが・・。


    瀬田賢二には尽くしてくれる恋人が居たが、井佐原茉莉との奇妙な出会いと、茉莉が壁に描いた絵を見た瞬間に恋に落ちてしまった瀬田は以前の恋人と別れる決心をする。茉莉との出会いがなければ作家としても人間としても狂わなかった人生なのだが、茉莉と過ごした生活は瀬田にとって生きてる実感と充実した日々だったのだ。

    茉莉が冷蔵庫から首だけ出す情景はドキッとして、ウギャーーー!!と絶叫しそうだった。貞子の到来かと思ったほど。笑
    それにしても、岡田あがさには圧倒される。エキゾチックで確かな存在感のある女優だと思う。素晴らしい!

    茉莉の過去も描写しながら、DULL-COLORED POPでかつて公演した「小部屋の中のマリー」を登場させる脚本は、その公演を観ているワタクシにとってはあの時の情景も思い出され、それらとリンクさせながら観る事が出来るのだから、より深く感じるところはある。

    瀬田は茉莉に出会ってから今までの作風と一変し茉莉の絵を取り込んだ絵本作家となるも、彼女の才能をもっと開花しようと焦ったうえに、茉莉に対しても描くということに強制的になってしまう。そして親友の織田(瀬田の出版を担当)を信頼し、茉莉の海外進出の手助け兼、同行を頼むも、いつしか茉莉と織田が男女の関係になってしまうのだった。

    それを知った瀬田は茉莉との共同合作の絵本「小部屋の中のマリー」の最後の行、「そしてマリーは幸せに暮らしました。」を「その後、マリーは何処へ行ったのか誰にも解りませんでした。」に書き直して出版してしまう。それは茉莉との永遠の別れを意味するものだった。それというのも茉莉との合作の絵本には魔力のようなものがあり、絵本で描いた物語がそのまま本当の物語として現実に起こってしまう力があったのだ。そのまま「悪魔の絵本」だ。

    やがて茉莉は行方不明になり、瀬田は、右で字を書くことが出来ない疾病症(鬱病)になり苦悩し屈折し、六万枚の未発表原稿を残して、失踪する。失踪する直前の瀬田の病んだ演技が素晴らしい。大絶賛!



    好みの作風だった。序盤撒かれた伏線をきっちり回収し、謎共々すっきりさせ、終盤、「雲の上に隠した大切な宝物」として茉莉が描くべき絵の部分を白紙にしておく隙間が素敵だった。やがて茉莉は登場するのだが、茉莉に吐かせるセリフも素敵だ。
    田村真の迫真の演技にも魅了されたが、勿論、他のキャストらの演技力にも震えた舞台だった。
    ああ、舞台って素晴らしい!

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    2010/10/02 13:37

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