砂と兵隊/Sables & Soldats 公演情報 青年団「砂と兵隊/Sables & Soldats」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    終わらない歩み…。
    この作品、結構好きかも、と観終わった後思う自分がいました。
    不条理劇は結構好きなんですけど、それに加えて結構笑わせる
    ところもあり、あっという間の観劇タイムでした。

    将校の「岩本」を演じた山内健司の、飄々として若干おとぼけな
    隊を率いる軍人らしからぬ佇まいが、逆に強く印象に残りました。
    「西川」演じる石橋亜希子の笑いの取りっぷりも良かった。

    ネタバレBOX

    オリザさんの「上演にあたって」、ものすごい作品のネタバレなので
    最初から伏せておいた方が良かったのでは…。 皆、普通は
    一番最初に読むだろうし。

    「戦わない軍隊」「敵に遭遇したことの無い軍隊」…。
    暗に「自衛隊」のことを指しているんだろうなぁ、と感じても
    表だって言われるのと言われないのとではやっぱり感じ方の
    強度が違ってくるし…。

    それでも些細な台詞、だべりの応酬からいきなり核心を突いてくる
    脚本は凄かった。

    母親を探して砂漠を彷徨う一家の会話で、長女が父親に、

    「涙を拭いて無理に笑顔を造って走って戻ってきた
    かもしれないじゃんか!!!!」

    は痛烈だったね。 長女の今に至るまでの寂しさ、理解されにくさが
    あの台詞に思いっきり凝縮されているように感じられました。

    最後、一番最初のシーンと同じように出てきた軍の一隊が
    最初のとは若干ヴァリエーションの異なった会話を交わして
    去っていくシーンで終わったのに上手いと思い、さらに登場人物達の
    彷徨が順々に永遠に続く(脚本には「観客が全員去るまでこの動作を
    繰り返す」と指定あり)演出の執拗さに思いっきりビックリ。

    とまれ、上質の不条理劇でした。 またいつか広い所で観てみたい。

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    2010/09/30 23:20

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