ラチカン 公演情報 黒薔薇少女地獄「ラチカン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    強烈な印象
    エムキチビートの太田守信が「作りたいものを作る」というプロデュースユニット。あまりにも公演内容に合致しているので、こういうシリーズのためのユニット名なのかと思ったら、今回はたまたまであって、前作は違う内容の作品を上演したのだそうだ。ラチカン、拉致監禁された女性たちの物語。女優10人を集めての話題の公演なだけに、小劇場の女優マニアにはたまらない作品だろう。ふだんの小劇場より男性客の姿が目立ったし、スタッフがメイド喫茶のウェイトレスの扮装で「いらっしゃいませ、ご主人様」と出迎え、男性客も嬉しそうに後に付いて入場していた(笑)。PVをネット公開したり、会場で女優の写真物販があったり、かなりそのへんのファンを意識していたようだ。
    個人的には好きな系統の作品ではないけれど、強烈な印象が残った。俳優としての仕事しか知らなかったが太田守信は作・演出家としてもなかなか手腕のある人だと思った。
    狭い会場で、チラシも簡素なコピー、大道具もないシンプルな平舞台、衣裳も女優の私物だろうし、入場料はもう少し安くできたのではないかと思う(前売り2300円、当日2500円くらいが妥当に感じた)。
    小劇場の常連向けなのか、役名がついているが名前で呼び合う場面はほとんどないので、知らない女優はPVで照合確認しなければならない(それでもわかりにくい人もいた)。カーテンコールで役者紹介するか、もしくは、パンフに写真を載せてほしかった。

    ネタバレBOX

    全員黒い衣裳に、包帯姿、その種のマニア垂涎物で、ビジュアル的には危ないイメージ(笑)。
    収監部屋での会話が映画の「女囚」ものみたいな雰囲気。“性奴”にされた女性たちが脱出をめぐって話し合う場面は、今年観た角角ストロガノフの「精跡」とも共通している。人物の背景がほとんど描かれず、「脱出」に会話の重点があるので、単調に感じて途中、少々退屈した。
    ただ一人抵抗を続けるヒロインの藤村あさみは独房に入れられるが、殺されずに生きながらえる。ここへさらわれるまでの少女たちは、「生」に意味を見出すことができず、漫然と日々を生きてきたようで、すぐに生活に順応し、ここを出ても戻る場所がないという現実が重く胸に迫る。犯人が警察に逮捕され、建物が火事になるが、ヒロインの説得も空しく、少女たちは手をつないで建物から飛び降りて死んでしまう。
    1人生き残った藤村が、事件後、何年かして、現場を訪れるという場面。蝉しぐれの真夏、トレンチコートというのが不自然に見え、「暑い」と言って脱ぐのだがあまり意味を感じない。日記に声を出して心情を書きとめる場面、手元がもたついて声と合わず、不自然に感じた。ヒロインを出すとしても、本人の独白ナレーションをかぶせたほうがよかったのではと思った。
    全員が「美少女」であるとは言いがたいが(笑)、とにかく贅沢な布陣。鈴木由里は女性でハムレットを演じたほど演技に定評があるだけに、今回はちょっと役不足の感もあり、もったいない。人形のようなすずきぺこが不気味な存在感。監禁犯人役が登場しなくても、太田守信を思い浮かべてしまう(笑)ほど、彼は存在感のある俳優だ。
    照明との兼ね合いで、ファンデーションの明度をある程度そろえたほうがよかったと思う。角田紗里の肌色がほかの女優に比べてかなり地肌に近く、素顔にゴスロリの衣裳を着たみたいに見え、違和感があった。

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    2010/09/21 11:49

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