線引き~死者に囲まれる夜~ 公演情報 ワンツーワークス「線引き~死者に囲まれる夜~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 映像鑑賞

    満足度★★★★

    コロナ期以来の配信を有難く視聴した。「死に顔ピース」に通じる「死者」をめぐる家族の物語。通夜の日に亡くなった父(の魂)が、棺桶に足を入れるのを逡巡している。それを見る白髪の女(これは彼の母にも見えるが不明)、やがて先立った妙齢の女が和装で現れ、彼は最愛の妻との再会を喜ぶが、そこで死を自覚する(ちょっとコメディ風)。妻は旅館の女将であり彼は経営者であった。一方喪服の親族たちの間の会話で、旅館は3年間閉じていた事も。久々に旅館の一室に集まり、葬儀屋の男、息子三人、叔父とその息子、仲居だった女性の孫、長男の妻と娘、叔母たちにより家族のドラマが語られるのだが、そこらをうろつく父の姿がやがて息子らの目に見えるようになる(見えない人もいる)。家族問題の中心は巨額の借金。長男が叔父の勧めで最初は幾ばくかの負債の返済のため先物取引に手を出したがそれが雪だるま式に増えた事が窺える。が、長男は詳細を話さない。脚本上は主人公(観察者)に三男を据えているが、人も寝床に入った深夜、彼の前で次男は長男との絶縁を吐露する。また父(死者)が長男の妻に、遠慮なく離婚をしなさいと勧める。
    劇終盤はその後日談、十数年後。三男は葬儀以来会っていなかった長男の危篤を、彼の娘から知らされる。妻は一切タッチしないらしく、自分が立ち回っているのだと言う。彼は考えた後この事を次男に伝える。皆に会いたいと病床で訴えているそうだ、きっと罵倒してほしいんだと思う・・当然のように固辞する次男。三男は彼に、自分は会って来ると言う。行って思いきり罵倒して来る、と。
    不幸な帰結を迎えた家族とその人生を、死者を介在させながら描いている。古今東西描かれ尽くされて来た家族の不幸(と再生)のドラマの範疇に属し、特段珍しい事実もなく、現代風俗が盛り込まれた訳でもない物語を、死者の介入、巻き戻しやムーブといった演出を駆使しつつ見せた。

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    2024/12/10 14:29

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