脳-BRAIN- 公演情報 大駱駝艦「脳-BRAIN-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    「静謐で荒々しい舞が描く脳内」


     麿赤兒率いる大駱駝艦の新作は、脳の活動を描くことで人間を、そして現実社会で起きている様々な事象を照射する意欲に満ちている。

    ネタバレBOX

     幕が開くと舞台床に人型の線が引かれ、その線に沿って十数本の透明な棒が立っている。棒の先端にある火花のような意匠は脳内の電気信号であろうか。奥に並ぶ17名の白塗り舞踏家が前方へ静かに、のっそりと向かってくると、やがて4組に分かれて棒をひっぱったりして戯れる。麿以外の舞踏家が奥の方にまとまり動く様子は心臓のようにも脳のようにも見えて面白い。

     このつぎに舞踏家がボールを転がして戯れる場面では照明が紫色に変わり、それまでの静的な空間が急に場末のキャバレーのように妖しく映る。ボールを巻いていた紙を剥がすと紐を取り出し首にくくってのたうちまわる。けだし倒錯の美である。

     そのあといきなりの銃声で倒れたダンサーたちはやがて立ち上がり、ボールから剥がした紙を数か所にまとめる。それがまるで瓦礫のように見えて、現在海の向こうで起きている戦争を否が応でも想起した。

     印象的だったのは人型の美術の頭の部分に麿が立ち、指示を仰いで扇や書籍、明かりを持つ舞踏家が動き回っては他の舞踏家に接触するくだりである。この三人は芸道や知識の獲得、そして日々の生活を指し示す灯火の象徴に見えて、麿の人間観がよく出ている場面であった。

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    2024/12/01 19:34

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